【42歳でパーキンソン病】深夜、トイレで気づいた人生の真理とは?
42歳でパーキンソン病に侵された精神科医のエッセイが、韓国で売れに売れている。『もし私が人生をやり直せたら』という本だ。「自分をもっと褒めてあげようと思った」「人生に疲れ、温かいアドバイスが欲しいときに読みたい」「限られた時間を、もっと大切にしたい」と共感・絶賛の声が相次ぎ、35万部以上売れているという。
そんなベストセラーエッセイの邦訳が、ついに刊行される。男女問わず、多くの人から共感・絶賛を集める本書の内容とは、いったいどのようなものなのか? 本書の日本語版から抜粋する形で、「人生の限りある時間」の過ごし方について書かれた項目を紹介していく。

【42歳でパーキンソン病】深夜、トイレで気づいた人生の真理Photo: Adobe Stock

深夜、トイレで気づいた人生の真理とは?

 治療薬のレボドパを飲み始めて10ヵ月目の2014年1月3日の朝のことでした。出勤の支度をしていて、いつもと様子が違うことに気づきました。これ以上の診療を続けることは難しいかもしれないと思い、患者さんたちには1ヵ月間の休診願いを申し出ました。子どもたちの育児に追われても一度たりとて休んだことのなかった病院の仕事を、とうとう断念したのです。

 レボドパの薬効時間は3時間ほどしかないため、1日の大半は横になったまま投薬の時間を待つだけ。薬効が薄れてくると自律神経が乱れて心拍数が120を超え、玉のように汗が噴き出して日に3度の着替えを強いられます。

 中でも大変なのが、トイレです。パーキンソン病患者はトイレが近くなるのですが、夜も例外ではありません。ようやくうとうとしてきたかと思えば、急にもよおしてきてトイレに行っては目が覚めて、また1、2時間うとうとしたら再びトイレに行くということの繰り返しです。

 汗びっしょりになりながらトイレに向かっては転び、いっそこのままここにへたり込んで用を足してしまおうかとすら思うほどです。みじめで悔しい気持ちと同時に、この家に自分の他に誰もいないということも私を絶望させました。

 しかし、私にも大人としてのプライドがあります。