長崎3区では、立憲民主党公認の現職で社民党が推薦する山田勝彦氏と、日本維新の会の新人で、教育無償化を実現する会が推薦する学習塾経営の井上翔一朗氏の一騎打ちの様相で、自民党は候補者を立てることができずに、不戦敗の見通しだ。裏金問題で引責辞任をした自民党の谷川弥一氏による、最悪のパフォーマンスもあって、候補者など出せる状況ではない。

 唯一、自民党が候補者を立てているのが「島根1区」だ。「自民党の調査では、自民党候補が20ポイント近く離されていて惨敗濃厚だが、惜敗ぐらいにとどめようと必死で頑張っている」(地元の自民党幹部)という。「亡くなった細田博之氏が、今回、自民党候補の対抗馬となっている亀井亜紀子氏との復縁(自民党への復帰)を最後まで認めなかった。もし、亀井氏を自民党に取り込むことができたら、今回のような事態にはならなかった」(島根県の政治関係者)という。

 3選挙区で総じて言えることは、自民党の裏金問題へのアレルギーの強さであろう。情勢調査で立憲民主党がここまで強くでていることから、そのことが伺える。野党で巻き返しを図りたい候補は、この辺りがポイントとなってくるであろう。しかし、どうせ立民も維新も政権をとったら、利権は生まれるし、汚職もでるのは明らか。クリーンにするのは前提として、野党は、経済政策で競ってほしいものだ。情勢調査の10ポイントの差は、選挙でいえば射程圏内だ。

自民全敗なら岸田退陣は避けられない

 さて、大惨敗が現時点で濃厚な岸田文雄首相の今後について考えてみよう。アメリカで、スピーチが大ウケした岸田首相だが、よく考えてみれば、アメリカのいうことを聞き、武器を買ってくれる相手にブーイングなど出るはずがない。日本で岸田首相が全くウケないのは、増税していないと言って、どんどん国民負担を上げるからだろう。名目賃金が上がったと騒ぐ割に、より大事な実質賃金が23カ月減少してしまった。さらにここから消費税0.8%分に相当する社会保険料の値上げをするのだという。この政権が続く限り、永久に、国民負担は増えることになる。

 完全に失敗した「異次元の少子高齢化」などは、岸田首相の退陣を境に、全面的に撤回することだ。この件については、政策の連続性など気にせずに、躊躇なく悪政を撤回できるのが、自由で民主的な日本社会の利点だろう。

 岸田首相は早々に退陣し、次の首相には、岸田首相とはまったく逆のことを期待したい。つまり、不正を減らし、国民負担を減らし、規制を減らすことだ。それに尽きる。