各政党が独自に行った「衆院補選情勢調査」の結果を入手した。横並びで比較してみると、今回の衆院3補欠選挙における優勢候補と劣勢候補がはっきり分かれた。“裏金アレルギー”に苦しむ自民党は、唯一候補者を立てた島根1区でも惨敗が予想される。「自民全敗」なら岸田首相の退陣も避けられない状況だ。(イトモス研究所所長 小倉健一)
東京15区の選挙情勢、各党の「勝敗予測」は?
4月16日に告示され、4月28日に投票される衆議院議員補欠選挙。各情勢調査では「東京15区」「島根1区」「長崎3区」のすべての選挙区で、自民党が「不戦敗」もしくは「惨敗」の情勢だ。
筆者とダイヤモンド・ライフ編集部が手に入れた「東京15区の選挙情勢」は、以下の通り。
あらかじめ断っておくが、公明調査、自民調査、維新調査とされる政党による調査は、最終的には誰もその責任を問われないままに世間に流される。世論のミスリードを誘う目的とするものもあるので、話半分に受け止めなければいけない。あえてここで取り上げたのも、怪しい調査であることをしっかりと伝えるためでもある。
今回のケースで言えば、例えば、日本保守党の飯山氏の得票が、維新調査だけ突出した値になっているなど、不自然な点がある。「永田町では、利害関係のない文春や、勝ち馬に乗るために正確な調査が必要であるはずの公明調査には、一定の信頼がある。特に、自民党は自分たちの願望を交えた結果とは乖離した調査をだす」(旧安倍派所属議員秘書)という。
苦戦の乙武氏、立憲優勢だが「大番狂わせ」もありうる
注目すべきは、やはり立民の酒井候補であろう。区議会議員選挙で、前回の得票は8067票を獲得し上から3番目で当選している。ホームページでも「まっとうな政治へ」として、<利権やお金で動く政治から国民の声を受けて動く政治へ。信頼と寄りそいの政治を行います>とクリーンな政治を1番に掲げている。裏金問題で国民からの支持を失っている自民と比較して、有権者がもっとも力を入れてほしいということなのだろう。
しかし、政策に掲げる「医療」の項目をみると、「医療型レスパイト施設の増設」「地域で自立して暮らせる支援と施設の整備」「高齢者施設(特別養護老人ホームなど)の増設」などと、次々に「新しいハコモノ」「新しい利権」を生むような政策が並んでいる。自民党の利権は悪い利権、私たちの利権はいい利権だということなのだろうか。理解に苦しむ。