圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題のビジネス書『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』の中で著者・森武司氏から「僕に足りないものをみんな持っている」と語られたのが、FIDIA(フィディア)のNo.2で、Luvir Consulting(ルヴィアコンサルティング)CEOの中川裕貴氏だ。中川氏は、多くの優秀な人材をFIDIAに招いてきた人物でもある。今回はそんな中川氏に「採用の絶対条件」について聞いた。(構成:陽月よつか)

採用の絶対条件、3位「経験」、2位「能力」、では1位は?Photo: Adobe Stock

人が働くモチベーションは「2つ」ある

――新しい仲間を集めるにあたって、中川さんが重視していることを教えてください。

中川裕貴(以下、中川):まず、人が働くためのモチベーションや動機は大きく2つあると考えています。
1つは金銭的な報酬、もう1つは非金銭的な報酬です。
人が新しい会社や組織に入るとき、どちらかあるいは両方が自分にとって魅力的と思えるものを選びますよね。
ただ金銭的な報酬だけをアピールしても、他社で好条件があれば、簡単にそちらになびいてしまう。
だから組織側としては、金銭的な報酬だけをアピールするのはナンセンスだと思っています。
最終的に候補者を動かすところは、絶対的に「非金銭的報酬」であるべきだと僕は思うんです。

――「非金銭的報酬」というと?

中川:会社が目指すべきゴール、意義、社会的使命など、いわゆる会社のパーパスと呼ばれるものです。
それを新しい仲間に押しつけるのではなく、新しい仲間が内に秘めている個人のパーパスと会社のパーパスの重なりを見つけ、掘り下げていきたいと思っています。
それができれば、候補者に一番刺さり、金銭的価値以上の価値や魅力につながることだと思うのです。

面接では何を質問するのか?

そのために僕が面接時によく質問するのは、その人の5年・10年後のキャリアプランです。
どういう会社でどういう仕事をしていたいか、どういうポジションに就いていたいのかという、キャリアの志向性です。
キャリアの中で成し遂げたいゴールも尋ねます。
そのほかに、過去の経験から掘り下げ、「地元はどこですか」「小さい頃は何かスポーツをしていましたか」「何に熱中していましたか」など、その人の心を揺さぶる源泉を探っていきます。
言い換えると、その人のスキルや頭のよさより、その人の芯にある人間性、パーソナリティが知りたい。ここに一番時間を費やします。

――能力や経験より、パーソナリティのほうが重要なんですね。

中川:そうですね。
候補者のパーソナリティと僕らの会社の思想が合うかどうかは絶対条件だと思っています。
だから僕らの会社についても、目指している方向性、つまりどんな仲間がいて現状どんなことやっているか、将来的にどういうことをやりたいのかなども、すべて包み隠さず話します。
もし思想や考え方が合わないまま無理に入ってしまったら、候補者も会社も不幸になると思うので。
その条件がまず絶対的ベースにあります。

その人が持っている専門性や専門知識、これまでの経験やノウハウを見るのはその後ですね。
そうやって、本当にこの人は僕らの会社に必要なのか、入社後にしっかりとパフォーマンスが上がるのか、じっくり見るようにしています。

会社は「真剣な遊び場」!

――絶対条件を踏まえたうえで、中川さんが一緒に働きたいと思うのはどんな方ですか?

中川:やっぱり、チームとして結果を出すことが好きな人です。
個人よりもチームを尊重できる人。
達成感や成功の喜びも、個人の成果より、チームとして喜びをかみしめたい、みんなで一緒に喜びを分かち合いたいと心底思える人ですね。
あと、何か一つのことに熱くなれる人がいい。
これは森社長も言っていたかもしれませんが、人の持って生まれた能力は、実際のところそんなに大きな差はないと思うんです。

元々の能力や地頭のよさは、本当に1割・2割ぐらいの差しかないと思う。
その差を大きくしたり埋めたりするのは、物事に対する熱量とか、覚悟とか、気合とか根性とか、そういうものだと僕は思っているんですね。
だから能力自体より、仕事に没頭・熱中できる人と一緒に仕事をしたいです。

――仕事に没頭・熱中できる人ですか。

中川:はい。僕らは思想として「会社は真剣な遊び場」というものを掲げているんですよ。
子どもは遊びながら成長していきますが、あれは目の前のことに熱中・没頭し、できることが増えるたびに喜びを感じる。それが成長につながっていると思うんです。遊び場ってそういう場だと思うので。
だから、会社は面白い環境や機会を用意する。働く人は、その遊び場に熱中して没頭して、夢中になって楽しむ。そういう遊び場を、みんなで一緒につくっていきたいと思っています。

今回のお題、「採用の絶対条件、3位「経験」、2位「能力」、では1位は?」に答えるとすれば、圧倒的1位は「仕事に没頭・熱中できる力」です。
そんな1位の人に、これから一人でも多く出会っていけたら幸せです。