「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題のビジネス書『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』の著者・森武司氏から「僕に足りないものをみんな持っている」と語られたのがFIDIA(フィディア)No.2で、Luvir Consulting(ルヴィアコンサルティング)CEO中川裕貴氏だ。中川氏については本書でも、「年商60億を100億円に引き上げた」「初対面のときから信じられないほど優秀だった」「優秀な人材を何人もFIDIAへ紹介した」と数々のエピソードが紹介されている。そんな中川氏が「FIDIAに入った理由とは何か?」について深く聞いた。(構成:陽月よつか)
初対面時は距離感MAX! “The人見知り”だった著者
――中川さんにとって、森さんとの出会いはどんな印象でしたか?
中川裕貴(以下、中川):森さんと僕との出会いの詳細は『スタートアップ芸人』にありますが、今回は、本には載っていない僕目線でお話ししたいと思います。
もともと僕はデロイト トーマツ コンサルティングから事業会社でのキャリアを挟んで独立し、個人でコンサルティングサービスを提供していました。
そのときのビジネスパートナーと橋本さん(現・FIDIA役員)が知り合いだったんです。そのご縁でたまたま大阪へ行く機会があったときに、当時のFIDIAオフィス(当時の社名はSuprieve Holdings)にお邪魔した。そこで初めて森さんとお会いしたんです。
この出会いについては本書でサラっとカッコよく書かれていますが、僕にとっては、初対面の森さんはもう、絵に描いたような“The人見知り”だったんです。
距離感MAXというか、何を話しても、「あっはい……、はい……(遠くのほうで小さく相槌)」のような感じで(笑)。
――意外です! 初対面では、そんなに距離感があったんですか。
中川:そうなんです。そこからいろいろ会社の課題を聞いていく中で、ちょっと僕のほうでも力になれそうなことがあったんです。
そこでもう1回お会いし、さらに何回か会って、月2~3回くらいお会いするようになって……、「じゃあ、ちょっとコンサルティングサービスを提供させてください」という流れでした。
だから、いわゆる“衝撃の出会い”のようなものではなく、関係性が自然に膨らんでいった感じだったんです。
仲間意識が芽生えていった理由
中川:コンサルが始まったら、これはベンチャーあるあるなんですが、会社のいろいろなところに課題が顕在しているのがわかった。というのも、当時のFIDIAは社員が600人規模だったのですが、人事制度がほぼまったくなかったんです。
それで社員はパフォーマンスを充分に発揮できていなかった。
何を評価されているかわからないし、報酬がどう決まるのかもわからない。制度不安で人が辞めてしまうこともあった。
だから、「社員が安心して働ける会社にしていきたい」⇒「人事制度をつくりましょう」となったんです。
でも人事制度をつくるにあたって、もう少し上流の「そもそもどんなビジネスをしたいのか、今後どう展開していきたいのか」と話していると、その上流部分にまた別の課題があったのです。
――一緒にやるほど、どんどんその奥にある課題や別の問題が見つかっていったと。
中川:はい。いろいろな話に派生しながら、いろんなことを伴走させてもらうようになった。そうしたら、徐々に一緒にやる僕の意識も変わっていった。
森さんはパッションが強いんです。
「こういう会社をつくりたい、こういう規模にしたい」と、具体的な数字や壮大なビジョンをバンと示すことが多いんです。
そんな森さんと仕事をしていくうちに、気づいたら、僕も一緒にワクワクするようになっていった。最初はコンサルタントという第三者の立場で入ったのに、いつのまにか自分事のように考えるようになっていった。もう、本当、落とし穴にまんまと落ちた感じでしたよ。
――落とし穴! それは、FIDIAに勧誘される前からですか?
中川:そうですね。明確ではないですが、いつのまにかですね。
正式にこの会社に入らないかと誘われたのは合宿のときでしたね。
『スタートアップ芸人』にも書かれていましたが、会社の責任者以上が集まる合宿の露天風呂で、会社の未来について、みんな裸で7~8人集まって話していたんです。その中に僕もいて、そのときはまだ「僕、外の人なのにな……」と思いながら輪に入っていた。
そこで「中川、一緒にやろうよ」って誘ってもらった。
そこは本にもあるとおりなのですが、実際は森さんが書いてくれたみたいに小粋な感じじゃなかった(笑)。誘ってもらえたのは嬉しかったですけどね。
――正式に仲間になったのはいつだったんでしょうか?
中川:それより2か月後くらいです。
会社の忘年会があって、僕も出席したんです。
そのとき僕は、忘年会会場の一番奥のいわゆる上座に追いやられた。ちょっとトイレに行くにも、何人も跨いで行かないといけないすごい嫌な席に(笑)。
そんなところに座らされ、忘年会の間中、「入るか入らんのかはっきりせえや、乙女か!!」とずっと横から言われ続けた。2時間ずっとですよ。そこで「入ります」と返事したんです。
道を選んだ決め手とは?
中川:森さんとの出会いからFIDIAに入るまでの経緯はそんな感じですが、実はこれ、金銭的なところについては一切何も言われないまま入っているんです。
報酬がどのくらいとか関係なく、純粋に「こういうことを一緒にやらない?」と誘ってもらった形だったので、僕もこの人たちと一緒に面白いことをやりたいと、ワクワク感だけで道を選択してしまった!
――金銭的報酬についてまったく提示なしというのはすごいですね。
中川:もちろん、金銭的報酬を考えないのがいいという意味ではありません。
仕事をしてお金を得ることについては、いろいろな考え方がありますし、それぞれ事情も異なります。
僕が候補者とお会いするときも、そこはしっかりリスペクトします。
ただ、僕の場合はそういうふうに道を選んだということです。
一般的には、会社は人生ですごす時間が一番長い場所になります。社会人でいる間、1日8時間もすごしますから。
だから、会社で仕事している時間が充実していなかったら、その人の人生も充実しないと僕は考えています。
そうやって人生の充実感という視点で考えたとき、金銭的な充実度は、人生を充実させる要素のほんの一つにすぎないと思うんです。
それより、人生で一番長くすごす会社にいる時間、つまり仕事を充実させるほうがずっと重要ではないかと。
そして仕事を充実させるものは、なによりもまず、心の充実だと思っています。
――心の充実というと、どんなことですか?
中川:たとえば、本当に自分が誇らしいことをしているか、会社に必要とされているか、仕事がワクワクするか、日々楽しいか、そういうことです。
そういう仕事に対する心の充実が、人生を充実させると思っているので、僕は森さんやFIDIAの仲間たちに感じたワクワク感を指針に道を選んだ。
そうして今でも、毎日ワクワクし続けているんですよ。