そしてそこでの社会関係は現在のミドル期シングルにとって重要な場でありますが、同時に、そこは居住する地域にはない、ということがわかります。

 一方でその社会関係は、“その場を楽しむ”ということに限定されており、必ずしも、何かあったときに支え合う、家族の代替になるものではなさそうです。このような友人とは、多くの場合話題はその趣味についてであって、仕事や家族の悩み、困ったことなどについてはあまり話さないようです。

「私が入ってるサークルの中では、相手の何ですか、勤めてるところとか、そういう情報は詮索しないというほうが、何かおきてじゃないですけど、紳士協定で結ばれてる。みんな、相手がどこに勤めてるか大体知らない。どういう業界かは知ってるんですけど。そういう内情はあんまり聞かないことにしてる、というのがお互いのためか、趣味でやってるだけだから、それでいいだろうという話ですね」(Mさん、男性、50代前半)

 イベント的であるが故にそこには深刻な話題を持ち込まない、その場を楽しむということが重要になってくることがわかります。

 もちろん、友人たちとではなく、ひとりで趣味を楽しむミドル期シングルたちもいます。Cさんは仕事を優先させながら空いた時間に音楽を楽しむために、友人とスケジュールを合わせることに煩わされないよう、ひとりで行動することを選んでいます。

「別に集中したいからというわけじゃないんですけど、人とスケジュールを合わせるのが大変というか、人と一緒に約束をすると、ある程度前に約束してチケットを押さえてとかっていうことに結構なりがちだと思うんですけど、私仕事柄、いつ休みになるかとか、あとは急にぽっと仕事が入ることも、間近になって仕事が入ることもあるので、できれば仕事入ったらそっちを優先したいなというのが本心なんですね。

 なので、自分ひとりで取る場合には1週間切ったチケットしか取らなくて、なのでぎりぎりだと何か本当に例えば2枚連番で取るのは難しかったりとかというのもあるんですけど、ひとりだとあんまり気にすることなく取れたりするんで、本当に3日前にぽっと取って行くとか」(Cさん、女性、40代前半)