「病気の際に頼れる人がいない」が6割超
孤独死への不安も半数に上る

 他にも干渉されたり、他の人に気を遣うことなく暮らせる東京の生活を肯定的に捉えている人が多くいます。

「もうひとり暮らしが非常に長いので、ひとりでいることの自由さのほうが勝ってるといいますか。あまり不便は日常は感じていないです。(心配なのは)その体調が悪くなったときぐらいですね」(Oさん、男性、50代前半)

「はい、自分の好き勝手な時間に寝て、やろうと思えば寝て起きてお風呂も入れて食事もできてという、そういう干渉も全くないんで、もう自分からするとありがたいことこの上ないですね」(Mさん、男性、50代前半)

書影『東京ミドル期シングルの衝撃 「ひとり」社会のゆくえ』(東洋経済新報社)『東京ミドル期シングルの衝撃 「ひとり」社会のゆくえ』(東洋経済新報社)
宮本みち子・大江守之 編著、丸山洋平・松本奈何・酒井計史 著

 ここにみられるのは、人間関係に深入りしない、軽やかな友人との社会関係を楽しんだり、ひとりで気ままに過ごす自由や利便性を大事にする東京のミドル期シングルの様子です。

 このような様子と同時に、一方でミドル期シングルたちは自分たちの将来に不安も感じています。アンケート調査からも、ミドル期シングルたちの中で高齢期(65歳以上)になったときの生活に不安のない人は全体の3.7%しかおらず、ミドル期シングルは孤独感や将来への不安を抱いている人が多いことが明らかになっています。

 例えば病気になったときに身の回りの世話をしてくれる人がいない、という不安は64%にも上ります。さらに自分が「孤独死」をする不安を多少でも持っている人は半数に上ります。これらの問題は、身近な家族、配偶者やパートナー、子どもといった血縁や法的に結ばれた人々に頼ることができないシングルたちが高齢化していくにあたって避けて通れない問題です。