カレーライスの上に乗っかるものは…“てんこ盛り”が人気?

 たこ焼きについては、庶民も受け入れるメニューとなったようだ。市内北部のチョウキット地区には「庶民の台所」といわれる農産物市場があり、その奥にマレーフードを中心とした屋台街が広がっているが、ここでは2軒ほどたこ焼きを売る店があった。

たこ焼きは「ジャンボパック」に強い人気たこ焼きは「ジャンボパック」に強い人気

 興味深いのは、その売り方だ。30個入り(25MR、約750円)、40個入り(35MR、約1050円)という「ジャンボパック」に強い人気があった。そこには「家族とシェアしながら」あるいは「おなかいっぱいになるまで」といったニーズがあることが見て取れる。日本で一般的な「一舟6個入り」程度では満足しないらしい。

 さらに、あるメニューが目を引いた。それは日本のカレーライスなのだが、ありとあらゆる食材が「これでもか」とプレートに乗せられていた。

「ナビト・コラボレーション」と名付けられたそのメニューは、ラマダン(イスラム教徒による1カ月にわたる断食)と断食明けのハリラヤ(新年を祝う期間)のための「お祝いメニュー」である。カレーライス+オムレツ+ビーフステーキ+チキンカツが詰め込まれ、バターミルク、クリームソース、デミグラス、テリヤキからソースを選べるというもの。さらに、みそ汁が無料で付いてきて、合計25MR(約750円)を「特別価格22MR(約660円)」で提供するという“超てんこ盛りメニュー”なのである。

カレーライス・オムレツ・ビーフステーキ・チキンカツをてんこ盛りにした「ケンちゃんカレー」カレーライス・オムレツ・ビーフステーキ・チキンカツをてんこ盛りにした「ケンちゃんカレー」

 マレー系の住民の間では、「てんこ盛り系」が好まれるという実例といえるのだが、さらに驚いたのは、このメニューを扱っていたのは「ケンちゃんカレー」という日系資本だったということだ。

 日系資本といえば、「高価格帯で富裕層狙い」という戦略が定番であり、マレー系住民に向けた低価格のマーケティングを日系資本が本気で行っているという事例はそう多くない。一体どんな企業なのだろうか。