心身の健康維持の先にある
自分らしい生き方
メーカーは機能性表示でそこまでの強い効果は当然うたってはいません。しかし、生活者は特定の健康機能が表示されていれば薬のような短期的な強い効果を期待してしまうのです。しかも制度発足当時は届け出商品数も限られ、市場で差別化できましたが、類似の機能性表示の商品が次々に参入してくるとそれも困難になりました。
いわゆる“メタボに効くお茶”といわれる商品は数多くありますが、いずれも市場は伸び悩んでいるようです。理由は、機能性表示制度によってCMやパッケージで効果を強調することが可能になったことで、生活者に短期的な効果に対する過剰な期待を持たせてしまい、その効果が実感できないことから継続して飲んでもらえないからです。
これまでの健康食品は言葉の示す通り、生活者に健康価値を提供することを商品価値としてきました。しかし、時代の大きな転換期の中で、生活者は心身の健康維持の先にある自分らしい生き方や暮らし方であるウェルビーイングを求めるようになってきました。
そのためには心身の健康は欠かせないものです。ウェルビーイングの重要な観点の一つが「多様性」です。一人一人の多様性という側面もありますが一人の人間においてもそれぞれの生きる瞬間、モーメントは多様です。
例えば、健康診断で中性脂肪、血糖値などのメタボ関連の数値が上がっていたタイミングではおいしさという食の楽しみを多少犠牲にしてでも脂質、糖質を抑えた食生活をすることが必要です。そのようなときは大好きな砂糖と脂肪分たっぷりのプレミアムデザートの代わりにカロリーオフのヘルシーデザートを選ぶ人も少なくないでしょう。
しかし、仕事で本当に心身が疲れ果てたときには、高カロリーのおいしいプレミアムデザートを食べて癒やされることもウェルビーイングのためには必要かもしれません。そして、一定期間の食事制限の結果メタボ数値が改善されれば、また以前のようにプレミアムデザートを気兼ねなく食べることもできるようになるでしょう。