沖縄、イカリア島、ロマリンダ…
ブルーゾーンと呼ばれる地域とは?
人は生きていく中でおいしさと健康を両立させながら、食をマネジメントしているのです。そして、おいしいという価値は「心の健康」にはとても有益です。だからこそ身体的な健康という側面だけで食を考えるのは現実的ではないのです。
人びとが本当に求めているのは、若々しく自分らしく魅力的に生きられる状態になることであり、それを維持することです。それはまさにウェルビーイングな状態を維持することにほかなりません。
好きなもの、食べたいものを、毎日普通に食べていても、若々しくいつまでも元気で健康に長生きしている人々が数多く居住する特別な地域が今、注目されています。沖縄(日本)、イカリア島(ギリシャ)、ロマリンダ(米カリフォルニア州)等の“ブルーゾーン”と呼ばれる地域には、90歳はもちろん100歳を超える人々が多く暮らしています。
ブルーゾーンの一角として、スローライフを実践しながら生きがいや社会とのつながりを持ち、豊かな食生活を送ってきた沖縄をはじめ、実は、日本食は世界的に見ても健康的です。中でも1975年ごろの日本の食事は、内臓脂肪の蓄積や、加齢に伴う脂質代謝調節機能低下を抑制し、老化遅延へのメリットが高かったといわれています。
この食事の傾向が現代でも継続されていて、「長寿日本一宣言」をしている沖縄の大宜味村では、人口約3500人の3分の1を65歳以上の高齢者が占め、うち11人が100歳以上となっています。
また、京都府の京丹後地域は、100歳以上の割合が全国平均の3倍で、単に寿命が長いというだけでなく、健康で自立した生活を送る「健康長寿」を実現している人が多いのが特徴です。
健康長寿エリアの「食事」には共通したファクトがあります。それは一言で言うと、過剰も不足もない(偏りがない)栄養バランスが実現されていることです。地中海食を日常的に食べているスペインが、2040年までに長寿国世界一になる見通しだと英医学誌「ランセット」が発表したことで、改めてその健康効果が注目されています。