長寿地域では、必要な栄養素を
多品種の食材から自然に取っている
長寿地域の食事に共通する要素は次の通りです。
・「揚げる」「炒める」が控えめで全体的に動物性が少ない
・だしや発酵系調味料(ハーブやオイル)を活用し、食塩や砂糖の使用量も控えめ
・畜産以外のたんぱく質も多い
・大豆製品が多い(植物性たんぱく)
・食物繊維が豊富な大麦/玄米が多い
・さまざまな食材を少しずつ食べ、結果として野菜/果実類の摂取も多い
・植物性食品(精製されていない穀物を含む)を中心として、ビタミン、ミネラルなどの栄養素やたんぱく質を多品種の食材から自然に取っている
・卵、乳、肉は適度に摂取、牛や豚、鶏などの赤身肉類は控えめ※沖縄食のみ豚肉の摂取量は多い
これらの地域に共通するのはいわゆるPFC(Protein/たんぱく質、Fat/脂質、Carbohydrate/炭水化物)の量だけではなく、その質も含めたバランスに加えて、ビタミン、ミネラルなど多様な栄養素も含めて偏りがないことです。
ブルーゾーンではいわゆる健康食品、サプリメントのような商品は恐らく一般的にはあまり摂取されてはいないと思われます。それが意味することは、健康食品により特定の健康課題に対処するよりも先に、おいしくて栄養バランスがいい食事を取ることが健康維持のためには重要だということです。
医療の進化により私たちは100年生きることができるようになりました。さらにいえば、これからは、健康なまま100年を生きることができる時代になるかもしれません。
19年にWHO(世界保健機関)が公表したICD-11という国際疾病分類の第11回改訂版にも、明確に“老化”の概念が盛り込まれています。それは老化があらがえないものではなく、人類が克服すべき治療対象の疾患と定められているということの表れです。
その実現に向けて、さまざまなライフサイエンスの研究が進められています。体も心も人とのつながりを人生最後のときまで保つことができる、真の意味でのウェルビーイングな一生が実現できる日もそんなに先ではないといわれています。
しかし、そのときには、必ずしも特別な機能性食品やサプリメントを必要としないのでしょう。栄養バランスの取れた食事で、ウェルビーイングが実現できているブルーゾーンの存在がその最大のエビデンスです。
そのファクトこそが、これからの食と健康が向かう新たな方向性を示唆しているのではないかと私は考えています。
(インテグレート代表取締役CEO 藤田康人)