住友化学が創業以来最大の赤字に陥り、苦境に立たされている。株式市場は石油化学業界全体が抱える構造問題を解決する再編や、成長著しい半導体や蓄電池の部材供給といった成長事業への大胆なシフトを求めているが、それ以上に赤字出血を止めるための事業売却を決断できるのかを注視している。住友化学の株価を反転させるために必要なリストラ策を挙げるとともに、本命リストラ策に関するヘッジファンドのしたたかな計算を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 金山隆一)
住友化学が克服すべき三つの課題
再編と成長領域の育成より先に打つ手は?
住友化学は創業以来最悪の2450億円という巨額の赤字が確実となった。大手化学6社で唯一の赤字で復活のシナリオも見えていない。2018年1月に859円だった株価は足元では308円(2月26日現在)と約3分の1に下落している。
同社はいち早く石油化学コンビナートの海外進出を決め、シンガポールとサウジアラビアで大型のエチレンセンターを操業。医薬品事業にも進出した。住友グループの白水会の「御三家」という名門で、産業界の代表として経団連に2人の会長を輩出、現在も十倉雅和会長が経団連の会長を務めている。だが、石油化学業界が共通して直面する三つの課題で解決の糸口を持っていない。
一つは日本全国にあるコンビナートの再編。もう一つは温暖化ガスの排出削減に向けた脱炭素の取り組み。そして石油化学に代わる新しい成長領域の拡大だ。とりわけ今世界が注目する半導体材料や電気自動車(EV)の部材などの事業拡大が求められている。