実質民間最終消費支出(年率換算額)の
2023年1~3月期から10~12月期までの変化額

停滞する消費の回復が好循環実現への試金石、今こそ重要な実質所得増実質民間最終消費支出(年率換算額)の2023年1~3月期から10~12月期までの変化額 出所:内閣府「四半期別GDP速報」

 個人消費が停滞している。実質民間最終消費支出は年率換算額で、2023年1~3月期から同年10~12月期にかけて3.8兆円減少した。遡及可能な1980年以降で3四半期以上連続して個人消費が減少したのは、97~98年のアジア通貨危機前後と、08~09年のリーマンショック前後の2回だけだ。

 GDPの約6割を占める個人消費の回復は経済成長に不可欠だが、「賃金・物価の好循環」を実現する上でも重要である。

 個人消費の先行きを占う上での最大の注目点は実質賃金だ。23年の春闘賃上げ率は30年ぶりの高水準となったものの物価高に追い付かず、実質賃金の前年割れが続いた。だが24年は物価を主に押し上げてきた食料品価格の高騰が一巡しつつある。春闘賃上げ率は前年超えが確実で、中小企業への広がりも見られる。