もし米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長がインフレの加速を懸念しているとしても、1日に終了した連邦公開市場委員会(FOMC)の後の記者会見では、そう見えなかった。今年第1四半期にインフレ率が上昇に転じたにもかかわらずパウエル氏は、FRBが目標とする2%に向けてインフレ率が再び低下し始めることに自信を示した。パウエル氏は最近のインフレ率上昇を「一過性(transitory)」と見なしている、とさえ言えるかもしれない。同氏は2021年に使っていたこの言葉を1日の会見では使わなかった。FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.5%に据え置いた。金利据え置きのシグナルは、3月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率が3.5%という高めの数値となった後、既に出されていた。しかしパウエル氏は現在の金融政策について、物価を下げる上で十分な引き締め効果を持つと指摘するとともに、「政策金利の次の動きが利上げになることは考えにくい」と述べ、利上げが検討課題となる可能性を排除した。