人工知能(AI)スタートアップ企業である米インビューは、丸いオレンジ色のロゴが入った自社パーカを持ち、サンフランシスコ市中心部にオフィスを構える。さらに、2億1000万ドル(約330億円)超の資金を惜しみなく提供する大物投資家もついている。数十人の従業員は仕事と生活が融合しており、信頼とつながりを築くための週次イベント「フィーリングス・フライデー」でお互いの感情を分かち合う。創業から2年余りが経過した同社にないものは、事業――あるいは、それを生み出す製品――だ。新興企業セクターが幅広く低迷しているにもかかわらず、米半導体大手エヌビディアや米マイクロソフトの株式市場での成功例に追随しようとする投資家たちは、記録的な水準の資金をAI新興企業に投じ、この1年で10億ドルの評価額を持つ企業を何十社も生み出した。こうした投資ブームを受け、早くもバブルへの懸念が高まっている。誇大宣伝された自社技術の収益化に苦労している新興企業が複数あるためだ。