無能の管理職は「飲み会」「決起集会」で人を動かす。じゃあ、超一流は?
そう語るのは、これまで4000社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/種岡 健)
感情的なリーダーが犯した失敗
昔の私は、とても感情的なリーダーでした。
部下とよく飲みに行き、熱心に話を聞き、励ましてモチベーションを上げようとしていました。
ただ、部下たちは私が期待したほど成長しませんでした。
私の前職での失敗、その原因は「感情」でした。
感情は、マネジメントを邪魔します。
マネジメントは数学です。数学の問題を感情的に解く人はいません。
公式に当てはめていけばいいだけです。
公式が曖昧な組織では、それぞれ独自の考えの答え合わせが頻繁に起こります。
コミュニケーションによるすり合わせばかりして、各自の仕事が遅れるのです。
別に「ロボットになれ」と言っているわけではありません。感情を隠す仮面をかぶることが必要なのです。
上がったテンションは、いつか下がる
「感情」は横に置いておくべきですが、感情を出していい瞬間もあります。
それは、「結果が出たあと」「成果が出た瞬間」です。
結果が出たあとの感情は力に変わります。
悔しければ、「次はもっと頑張ろう」と思うでしょうし、成果が出て嬉しければ、「やってきたことが正しかったんだ」と思い、次の行動につながりますよね。
そして、無能な管理職がやりがちなのが、スタートからゴールのあいだで感情をコントロールすることです。
仕事を始める「前」や仕事をしている「途中」によけいな感情を持ち込みます。
そんな無能な人は、よく決起会をやります。
飲み会でテンションを上げて、「この勢いで頑張ろう!」などと言っています。
もっともダメな例ですね。
というのも、人の上がった感情は、必ず下がるようにできているからです。
「飲み会で『上に掛け合ってみるよ!』『会社を変えよう!』と言っていた人が、翌朝には何も覚えていない」
そんなことが、あなたの会社でもよく起こっていないでしょうか。
これは、個人の問題ではなく、人の意識がそのようにできているからです。
だからこそ、感情ではなく「理論」が大事になってくるのです。
やる気を上げて一気にやることより、平常心で淡々と成果を出すほうが、はるかに大事です。
その環境を整えるのが、超一流のリーダーの役割なのです。
(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。