たとえば、マインクラフトでは回路やコマンドを駆使することで特殊なゲームシステムを作ることができるので、「Lumen Power Challenge」というワールドに代表されるような発電所を作って運営するワールドで遊びながら学んでもらうこともできます。

 たとえばこのワールドでは発電とはどういう仕組みで行われているのか、施設で何をしているのか、火力、風力、原子力などどんな種類があるのかを身をもって理解できるはずです。

 マインクラフトで理解していれば、実際の発電所を見学したときにより理解が深まりますし、実際には見学できなくても「どんな風になっているのか、まったくわからない」ということにはなりません。つまりマインクラフトは、社会科見学の代わりにもなるのです。

情報――目的ありきのプログラミング

 マインクラフトでは同じ作業の繰り返しなどはプログラミングによって自動化できます。自動化ができれば、一つ一つのブロックを積み上げるのに比べると、圧倒的に短時間で大規模な作品を作ることができます。

 逆の言い方をすれば、効率よく大きな物を作りたければ、プログラミングを覚えることが大きなメリットになるのです。そして、特に建築が好きな子は、プログラミングに難なく挑戦しマスターします。早く巨大建築を作れるようになりたいという、目的がはっきりとしているからです。

 マインクラフトで身につくプログラミング言語は、具体的にはJavaScriptやPythonなど、メジャーな言語です。ただ、ここで大切なのはどんな言語が使えるようになるかよりも、プログラミングというものに慣れることです。

 プログラミングとは、コンピューターへの命令書を書くことです。その命令書は、コンピューターが勘違いや、思考停止をしてしまわないように、コンピューターがすっきりはっきり理解できるように書かなくてはなりません。別な言葉を使えば、論理的でなくてはなりません。

 つまり、プログラミングができるようになるとは、論理的な考え方や記述ができるということであり、これは、プログラミング以外のところでも、とても役に立つスキルです。そうした、生涯にわたって役立つスキルの最初の一歩も、マインクラフトで身につけられるのです。