マインクラフトというプラットフォームのマルチプレイなどでそうした経験を積んでいれば、国語の読解問題にある「このときの主人公の気持ちを答えなさい」のような問いは、そう難しくないはずです。
また、ここ何年かはアクティブ・ラーニングということがよく言われています。以前のように、椅子に座って先生の話を聞くだけが授業ではありません。自ら発表する力、プレゼン力も求められています。
マインクラフトは、ゲーム実況という文化と切っても切り離せません。この文化がなければマインクラフトはここまで人気が出なかったのではないかと思うほどです。マインクラフトと実況の相性がいい理由は、遊び方が様々であることです。
いろいろな遊び方があるので「こんな遊び方をしました」という報告がいくつもできるのです。それは「私はこの遊び方が好きです」というお知らせでもあります。
好きなものについて語る実況を見聞きしていれば、さらに、自分でもやってみれば、「好きなものについて語る力」は自然と育ちます。
それが、プレゼン力です。
私がかかわる多くのマインクラフトの学習プロジェクトでは、ほとんどのケースで最後に必ずプレゼンをします。小学生から大学生までの皆さんが見事に発表をしてくれることに一番驚いているのは、その場にいる大人たちなのです。
社会――歴史を知り、世の中を知る
マインクラフトの世界では、いろいろな人の手によって、歴史的建造物が模倣・再現されています。
模倣といっても、本格的です。写真でしか見たことのない建物の内部についても調査して、調査しきれなかった部分は想像して、ゼロから建てていきます。こうすることで、教科書で読んだだけではピンときていなかった「校倉造り」や「寝殿造り」といった単語に、リアリティが増します。さらには、その建物が建てられた時代背景、人々の生活、政治や経済の状況などに興味が派生していきます。それも、自発的に。
そうして自ら進んで得た知識は、深く心と脳に刻まれるでしょう。それこそが探求学習の最初の一歩となります。もちろん、歴史的建造物以外のものも作れます。