仲間を巻き込むためのコミュニケーションとは?

 この間、すごく印象的なことがありました。とある若手に、「とにかく僕は、南さんを超えてみせます」と言われたんです。それを聞いて、僕も昔、小澤さんにそう言って、「おまえ、俺を超えてどうするんだよ」と言われたのを思い出しました(笑)。

小澤 三木谷浩史さんや田中良和さんを見ていて僕が思うのは、勝ち負けに対するこだわりがすごいということ。南も勝ち負けへのこだわりが強烈。これは事業家として成功するための素晴らしい要素です。

 でも、「勝ち負けへのこだわり」と「仲間のつくり方」は別。仲間に愛されながら楽しいことをやっていく局面では、勝ち負けにこだわるコミュニケーションを押し出すのはよくない。そのバランスを取るのがすごく重要です。

 南は会うたびに「僕は小澤さんを超えてみせます」と言ってたけれど、「俺を応援側に回したいんだったら、俺を超えると宣言してどうするんだ?」と注意したことがあります。俺に勝ちたいという人を、俺が応援しなければいけない道理はないんですから。

コミュニケーションとしては、「僕はこういう世の中をつくりたいから、あなたの力が必要です」と言うべき。それは表面上の話かもしれないけれど、その言葉を本当に心から言えたとき、人間はもうひと皮むけるのだと思います。

 それは本当に感じます。今回、僕が若手に「超える」と言われた瞬間に、「俺を超えてどうするの? お前はどういう世界観をつくりたいんだ?」と自然に聞いている自分がいて、「ああ、こいつは4、5年前の俺なんだな」と思いました。

小澤 短期的に勝負に勝つには、仮想敵をつくって超えていける人が強いと思う。ただ、中長期的に世の中を変えていく人というのは、仲間を引き込むコミュニケーションに長けている人だと僕は思うんです

→次回は、周囲を巻き込む力はどうすれば鍛えられるのか、その方法を考えます。お楽しみに!(4月12日更新予定です)


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