起業の苦難や楽しさを仲間づくりの視点から赤裸々に描いた『ともに戦える「仲間」のつくり方』の著者、南壮一郎氏。今回は南氏の先輩として楽天イーグルスの立ち上げ事業を率いた小澤隆生氏との対談の後編をお届けします。仲間がいることで、自らも成長した南さんと、仲間とともに今もいろんなプロジェクトを立ち上げ続けている小澤さんが語る、仲間をつくるための「最初の一歩」の踏み出し方とは?(構成:朝倉真弓)
仲間が見せてくれた、「社会が変わる」という実感
1999年にビズシークを創業。2001年、ビズシークを楽天に売却し、楽天グループの一員に。2003年ビズシークの吸収合併により楽天入社。2005年、楽天イーグルス立ち上げ担当として楽天野球団取締役事業本部長に就任。2006年に楽天グループを退社、スタートアップベンチャーへの投資やコンサルティング業務を行う。2011年、クロコス設立。2012年にクロコスのヤフー売却に伴ってヤフーグループの一員に。10月にYJキャピタル取締役COOに就任。
小澤 たぶん南は、当初、仲間が集まらなかったり、プロジェクトが思うように進まなかったりといった失敗を通じて、コミュニケーションの仕方について多くを学んでいると思います。南としては、どのぐらいのタイミングから自分が変わってきたと感じている?
南 小澤さんが見抜いていらっしゃったように、当初は会社を立ち上げたものの何をやりたいかがよくわからず、試行錯誤していました。その過程で、まずはインターネットがおもしろいと心の底から思えたんです。世の中を変え、業界の古い構造を変えられる可能性があるインターネットの破壊力がわかり始めたんですね。それで、たとえば三木谷さんが流通業界において消費者と小売が直接やりとりできる「場」を作ったように、採用業界で直取引の場を作ることができたらすごいじゃないかというヒントを得ました。楽天イーグルスでの経験で、古い構造が変わることの楽しさや素晴らしさは知っていたので、そこがポイントだったと思います。
そして、ビズリーチを立ち上げてちょっと先、仲間が形にしてくれるサービスが少しずつ業界に波紋を呼んでいるのを見て、なるほどね、と。僕はそんなに器用ではないので、仲間が形にしてくれたサービスを目の当たりにしてインターネットの威力に対する認識を新たにした結果、仲間の大切さを心の底から感じ、パッと変われたような気がします。
小澤 「がんばったら社会構造の変革ができちゃうかも」と思った瞬間に、見方は全然変わるんだよね。
南 楽天イーグルスでは、自分たちがあまりにも目立ちすぎていたような気がするんです。一方でビズリーチでは、既存の体制に一石を投じる立場となり、コミュニケーションの方法もおのずと変わってきたのではないかと。それも、ビズリーチの仲間が僕の目を開かせてくれたんだと思います。