「ヒット商品が生まれない会社」3つの共通点!社長の口出し、部署横断の企画会議、あと1つは?写真はイメージです Photo:PIXTA

平均年収2000万円超、営業利益率50%、時価総額5位――。最強企業キーエンスで商品の企画・開発に長年携わったOBが指摘する、「ヒット商品が生まれない会社」に共通する組織の問題点とは?ダイヤモンド・オンラインが配信している「学びの動画」の特集『キーエンス流 営業・企画・戦略の強化書』(全20回)の内容を基に、特別にお伝えする(元の動画はこちらから)。

商品開発の失敗は
「組織作りの失敗」に起因する

 企業の競争力の源泉といえる「商品開発」。商品の出来栄えが業績を大きく左右することから、メーカーをはじめとする多くの企業が日々試行錯誤を繰り返している。

 その過程でよくある失敗例の一つが、他社と似通った商品を生み出してしまうことだ。市場の「売れ線」を取り入れようとした結果、他社と似たり寄ったりの商品を作ってしまうと、最終的な差別化要因が「価格」となりがちである。

 価格を抑える方法としては「利幅を削る」「コストを削る」といった方法が考えられるが、前者は多少売れたとしても、結局はあまり利益につながらない。後者は行き過ぎると製造現場に負担がかかり、品質低下を招きかねない。

 かと言って、多大なコストを投じて新商品を作ったところで、必ず売れるとは限らないのも難しいところだ。他社との差別化を図るため、良かれと思って機能を盛りだくさんにした結果、顧客にとって「何が強みなのか」が分かりにくくなるケースもよくある。

「売れる商品」を生み出す上では、「顧客目線に立ちつつ、自社ならではの強みを打ち出す」という難しい舵取りが求められるのだ。では、それができない企業には何が足りないのか。

「商品開発の失敗は、組織作りの失敗に起因しています」。こう話すのは、キーエンスOBの大崎道雄氏だ(※「崎」の正式な表記は「たつさき」、以下同)。

 大崎氏は1997年にキーエンスに入社し、商品の企画・開発を20年近く担当した「売れる商品の作り方」を熟知する人物だ。キーエンス退職後はこれまでのノウハウを生かし、商品開発のコンサルティング企業「Minchu」を設立。代表取締役CEOを務めている。

「ヒット商品が生まれない会社」3つの共通点!社長の口出し、部署横断の企画会議、あと1つは?キーエンスOBの大崎道雄氏(=「学びの動画」より)

 大崎氏の古巣であるキーエンスはFA(ファクトリーオートメーション)関連機器の大手メーカーであり、測定器や画像処理機器、センサーといったFA用製品を手掛けている。

 キーエンスの強みは、コストやマージンを抑えつつ、合理性を徹底的に追求した営業体制を敷いていることだ。こうした仕組みによって、日本企業の中で圧倒的に高い「約50%」という売上高営業利益率を継続的にたたき出している。平均年収は2279万円(2023年3月期実績)と高年収企業ランキング上位の常連で、国内における時価総額ランキングでも5位(24年4月時点)につけている。

 高収益企業で商品開発に携わってきた大崎氏が明かす、「ヒット商品が生まれない会社」にありがちな組織作りの失敗パターンとは――。