なぜ幼稚園児は「今かけ算ができないのだから、1年後もきっと無理。だから、小学校へ行くのはやめておいたほうがいい」とは言われないのに、高校生になると、周囲も自分も可能性を信じられなくなるのでしょう。

 これと似たようなことが、大人になればなるほど起こってきます。なぜなら、大人たちはそれぞれ自分自身の「常識の枠」に当てはめてモノを語るからです。

 2018年以来、甲子園と縁がなかった塾高の生徒が、日本一という壮大な目標を立てると、分不相応云々と周りから揶揄されることもあったようです。

 しかし、誰ができないなんて決めたのでしょう。

 自分たちはなんでもできる。なぜそう思えなくなってしまったのでしょうか。

 彼らはまず自分たちは目標を達成できると、強く信じることから始めました。日本一になるためなら、些細なことはどうでもいい。彼らはそうやって古くからの習慣に風穴を開けてきました。

 彼らの自由な髪型が取り沙汰されたこともありました。彼らにとって野球で日本一という大きな目標に向かって走り始めるにあたり、髪型なんてどうでもよかったのです。実際に1年前のキャプテンは坊主頭でしたから。

「無理だよ」「できないよ」と思わずに毎日を生きる。根拠の有無にかかわらず「できる」と思う、赤ん坊の頃の潜在意識の状態に戻していく。

 それこそが、「勝ちグセ脳」のつくり方なのです。

有名アスリートと
自分の脳を入れ換えろ

 人間の脳はどれだけ優秀で賢いのでしょうか。

 質問すると、たいていの人は「脳というのはとても高度な処理をしたりするから優秀なものである」と答えます。それは間違いではありません。ただ、脳は思ったよりも純粋で、ある意味で「単純」です。

 たとえば、現実の世界と、想像の世界で起こったことを区別することができません。

 レモンをかじる様子を思い浮かべると唾液が出てくるのがいい例です。食物を咀嚼する時、脳が唾液を出すように指示を出し、自律神経が唾液腺の組織を刺激して唾液を出すのですが、食べ物が口の中に入っていなくても、先ほどの状態を思い浮かべただけで唾液が出るのです。

 同じように、脳はイメージトレーニングをすることで、最高のパフォーマンスを発揮することができるようになります。大事なのは常に成功をイメージしてトレーニングすることです。世界で活躍するトップアスリートはそれを実践していますし、その有用性が実証されているのです。