騒音や気圧の変化、狭いキャリーケース…
飛行機内でのペットの負担

 ペット同乗可能なヨーロッパの多くのエアラインでは、持ち込む動物に細かい規定があります。例えば、

・機内持ち込みは犬と猫に限定
・機内では常にソフトキャリーバッグに入れること
・バッグはかんでも破れない素材で、防水・防臭であること
・十分な換気がなされ、ペットが立ったり方向転換できる十分な大きさであること

 など、航空会社によっては「生後満12週間以上」「1機体につき○匹まで」「大陸間フライトのビジネスクラスでは同伴不可」と決められていたり、介助犬に関しては「機内ではリードで犬を所定位置につなぐ」「犬用口輪の持参必須」などの厳しい条件が提示されていることもあります。

 一方、そもそも論として、飛行機に乗せる際のペットへの負担の大きさを指摘する声も上がっています。慣れない環境に身を置き、エンジン音や機械音などの騒音を耳にせざるを得ず、気圧の変化もあるとなれば、相応の負荷がかかるのは間違いありません。

 たとえ機内に飼い主と入れたとしても、狭いキャリーケースに長時間閉じ込められるペットにとっては快適な環境ではないでしょう。

 事実、機内はペットにとって必ずしも安全な場所とはいえません。2018年、ユナイテッド航空の客室乗務員が、フレンチ・ブルドッグの子犬が入ったケージを機内に持ち込んだ乗客に、ケージを頭上ロッカーに収納するよう指示、空港到着時にはその子犬が死んでいたという悲しい事件が起きました。その子犬は酸欠状態に陥って死んだ可能性があるとみられています。

 実際にアメリカでは毎年、多数の動物が航空機に乗せられており、輸送中に死んだり、負傷したり、紛失されたりする事故が起っています。米運輸省は、60席以上の航空機を1機以上持つキャリアーに、動物の輸送数と輸送されている動物に起きた事故数を報告するよう求めています。