“ひとりでお留守番”はストレス
動物を幸せにする「動物行動学」とは

 ペットのウェルビーイングをどう実現するのか?を考える上で私たちが忘れてはならないのは、人間とは違う別の生き物であるということです。どんなに子どものように思っていても、違う動物同士が一緒に生活しているという理解をしてあげる必要があるのです。

 飼い主は人間の子どものように自分を理解してくれるんじゃないかという期待感を持ってしまい、いたずらすることや、ほえること、家のものをかむことを問題行動としてやめさせようとします。

 例えば、犬は元々仲間と群れで生活し狩猟する生き物です。ひとりでのお留守番自体が大きなストレスになります。その状況下では噛むことがストレス解消の大切な手段ですが、適当なかむものがないときは、その代わりに家のものをかんでしまうのです。

 実は私たちはあまり犬の行動をよくわかっていません。動物の健康を守る獣医学とは別にそれを研究する学問として動物行動学があります。

 動物行動学とは、生物の本能・習性およびその他一般に生物が表す行動と外的環境との関係性を動物の行動から読み解こうとする学問のことで英語ではエソロジー(Ethology)と呼ばれています。

「どうしてこんなことをするの?」という動物の行動を、心理学・生物学・生理学などの観点から総合的に理解しようとすることで、飼い主の対応方法も見えてくることから、動物を幸せにするサイエンスといえるでしょう。

 動物行動学に基づく考えでは、動物の本能を発揮させてあげることが心と体の健康に大切だとされています。犬はかむこと、ほえること、走ることが本能的に大好きです、そして仲間と過ごすことが犬の本来の姿です。