ほめることで“正解を教える”
うまく本能を発揮させよう

 かむという行為は本能的に自然なことでそれ自体が問題なのではなく、家具やリモコンのようにかんで欲しくないものをかむということが問題なのです。行動をただ禁じて抑え込んだのでは、犬はイライラして問題は悪化するばかりです。無理してガマンさせるのでなく、うまく本能を発揮させてあげることが、犬にとっての幸せにつながります。

 例えばかむことに関しては、「かんでいいもの」を決めてあげることが大切です。お留守番のときは適度な硬さの牛皮ガムなどを与えることでストレスを発散させてあげることができます。

 そして正しい行動をしたときは、その報酬としてその行動をほめてあげることが重要です。犬をほめるということは、しつけとして「正解を教える行為」であり、人間のように称賛を与えることではありません。

 ガムのいいところは、かじったらおいしいことです。かじった瞬間に「おいしさ」というわかりやすい報酬でストレスへの正しい対処を学ばせることができるのです。おしっこをあちこちにするのも一緒に生活していて困ることですが、それが犬の本来の習性なので、ペットシーツにしたときはほめてあげないとそれが正解であることが犬はわかりません。知らない人にほえるのも習性なので、知人にほえなかったときは大げさにほめてあげることが必要です。

 このように我々は、自分たちの生活にペットをならそうとするのではなく、家族の一員として迎えた以上はお互いがウェルビーイングになるための努力と学びの姿勢が重要です。

 きちんと相手を理解した上でお互いが気持ちよく過ごすことで、本当の家族としてウェルビーイングを築いていけるのではないでしょうか。

(インテグレート代表取締役CEO 藤田康人)