「ペットと一緒に飛行機に乗りたい」は
人間の勝手な都合?

 少し古いデータですが2017年に輸送された動物総数50万6994のうち輸送中に死んだ動物の数は24、負傷した動物の数は15、逃走などにより失われた動物の数は1と、10万のうち0.79の割合で動物に何らかの事故が起きていました(出典:Department of Transportation)。

 動物への体の負担を考えると、飛行機に乗せないのが一番。「ペットと一緒に飛行機に乗りたい」は人間側の勝手な都合でしかないという多くの声があるのも事実です。

「旅先でペットと一緒に写真を撮りたい」「かわいいペットといつでもどこでも一緒にいたい」といった飼い主の勝手な都合で同乗させるのは、できるだけ避けた方がよいと感じる飼い主も少なくないでしょう。

 私自身も愛犬と一緒に大好きな沖縄のビーチを散歩したいと思いつつも、搭乗前後を含め数時間ケージに閉じ込めることを考えると、連れて行けるようになったとしても乗せないことを選ぶかもしれません。

 近年、ペットと暮らす人が増えている中でコロナ禍はそれをさらに加速させました。3年にも及んだコロナ禍での先行きが不透明な日々の生活の中で、長く続いたリモートワークでの孤独感や不安感もペットたちと戯れることで紛らわすことができたという人も多くいます。

 人がペットに癒やされるメカニズムは、さまざまな研究によって明らかになってきています。私たちがペットと触れ合うとき、精神を安定させてリラックスする効果があることで知られる「オキシトシン」というホルモンが脳内で分泌されているといいます。

 オキシトシンは、人との触れ合いのなかで分泌され、プラスの感情や喜びを呼び起こします。この物質が、動物との触れ合いでも活発に分泌されるというのです。

 また、ペットと触れ合うと、オキシトシンに加えて、イライラやストレス、疲労感を軽減する作用を持ち、癒やし効果が認められている神経伝達物質「セロトニン」や、「フェニルエチルアミン」といったホルモンも分泌されることが分かっています。

 実際、犬と暮らす人は孤独感が軽減され、心身の健康にも良い影響があることが、さまざまな研究によって科学的に証明されています。

 このようにペットは私たち人間に多くのウェルビーイングをもたらしてくれる存在となっていますが、ペットにとって私たち人間と暮らしていることはウェルビーイングなのでしょうか?