また、上記にピックアップした候補者も脳天からつま先まで不思議な人たちというわけではなく、「平素は普通の隣人だが政治的主張が大勢から少し外れている」というケースもある。たとえば「ゲサラ法」の木宮みつき氏は、出馬表明記者会見を見る限り、冒頭の傘を広げるシーンなどは実に親しみやすそうな中年女性という印象であった。
もはや「蠱毒の壺」だ……
新都知事は「神霊」に違いない
今回の都知事選は、総じて散らかりすぎている。知名度を換金しやすい社会になって、都知事選のような場は格好の売名の場であり、そのターゲットとなって選挙戦が過度に荒らされるなら、選挙のあり方は変わっていくべきであろう。
また、「都知事に当選して都政をよくしていきたい」という志をしかと抱いて臨んでいる候補予定者は、はたしてどれくらいいるのか。その割合の少なさがノイズとなって、今回の散らかりを増長しているようにも感じる。
しかしここまで混迷を極めると、筆者は「蠱毒」の壺を想起するのである。昨今ではマンガなどでよく取り上げられるので広く認知されるようになった。蠱毒とは、古代中国の呪術で、ヘビやムカデなど毒を持つ生き物をたくさん一つの壺の中に閉じ込めて戦わせ、最後の生き残りが神霊となって、人を殺せる毒を発したりできるようになる、というものである。
よもやこの都知事選は蠱毒ではあるまいか。してみると、最後に生き残った当選者こそは、蠱毒の壺を生き抜き神霊として生まれ変わった都知事として、都政を導いてくれるのではあるまいか――。
などと夢想でもしてみない限りなかなか救いが見いだせない、2024年都知事選である。