まれに見る「激突型」都知事選で、小池3選の鍵握る自民推薦の行方5月27日、東京都知事選への出馬表明会見で、記者からの質問に答える立憲民主党の参院議員の蓮舫。蓮舫出馬で無風とみられていた都知事選が波乱含みの展開に Photo:JIJI

 向かうところ敵なし――。現職東京都知事、小池百合子(71)の独走で無風に終わるとみられていた都知事選が一転して波乱含みの展開になった。その行方は9月に総裁選を控える首相、岸田文雄の命運をも左右する。乱を呼び込んだのは立憲民主党の参院議員の蓮舫(56)。5月27日午後2時、東京・永田町の党本部で蓮舫はいつもながらの鋭い口調で小池に切り込んだ。

「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする先頭に立つ。古い政治と決別し、本当に必要な政策に予算を振り向ける」

 立憲の参院幹部によると、蓮舫が立候補を決断して周辺に伝えたのは26日深夜。決断の背中を押したのは、この日投開票が行われた静岡県知事選。立憲推薦の鈴木康友(66)が自民推薦の元静岡県副知事の大村慎一(60)を退けた。ただし、いきなり蓮舫が出馬を決めたわけではない。蓮舫側近の数人が水面下で極秘に検討を重ねてきたという。

「党の幹部は口が軽いので一切伝えていない。27日の『東京新聞』の朝刊で報じられた後に伝えた」

 この手法は前都知事の舛添要一の辞職に伴う都知事選に、小池が当時の首相の安倍晋三、官房長官の菅義偉(後の首相)の反対を押し切って出馬したときの状況とも重なる。小池は都知事選出馬に当たってこう言い切った。

「パラシュートなしで覚悟を持って、しがらみのない都民目線で戦う」