3党合意の政治資金規正法改正案は「裏金作りを続ける」宣言、“同じ穴のムジナ”の自浄能力の限界政治資金規正法改正案の衆院通過を受け、表情を引き締める岸田文雄首相(右)=6月6日午後、国会内 Photo:JIJI

政治資金規正法改正案、衆院で可決
自民再々修正案に公明、維新が賛成

 安倍派、二階派を中心にした自民党派閥の「裏金事件」を機にした政治資金規正法改正案は、政治資金パーティー券収入の公開基準を5万円超に引き下げるなどの自民党の再々修正案を公明党、維新が賛成し、6日、衆院の本会議で可決された。今後は参院での審議になるが、今国会で改正案の成立が見込まれる情勢だ。

 裏金事件では、安倍派がパーティー券の販売収入のうち約6.8億円、二階派が2.6億円、岸田派が3000万円を政治資金収支報告書(2018年~22年)に記載せず、また販売ノルマ超過分を議員側にキックバック(還流)したり、議員側が派閥に納めずプールしたりしていた。

 自民党が公表した不記載の議員は衆参議員85人にのぼり、このうち主として不記載額が500万円以上の39人が処分されるなど、「政治とカネ」の問題の根深さを浮き彫りにした。

 今回の政治資金規正法改正案は、日本政治の長年の悪弊を根絶することになるのか。

 パーティー券収入の公開基準を引き下げても、これまで通り企業などは名前を明かさず購入できる道は残される。当初、野党がそろってかかげていた政治家の連座制の導入、企業・団体献金や政策活動費の廃止などの「抜本策」は結局、永田町の“妥協”でまたもや見送られた。