政治資金規正法の連座制導入は権力の乱用につながる?自民党が理解していない公明党の本質とは?作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が読み解く。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
政治資金規正法の改正を巡って、自民党が孤立
派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題を受けて、自民党は5月17日、政治資金規正法の改正案を国会に提出しました。同日の「朝日新聞デジタル」は、こう報じています。
政治資金が政府の予算から出る金であれば、連立与党で政府案として提出するのが普通です。しかし政党交付金は違います。また、改正法案も閣法(政府提出法案)ではありません。公明党の山口那津男代表が言うように「野党の考え方も伺って幅広い合意形成を目指す努力」が求められるのは当然です。
自民党の議員たちは、「公明党って、こんなに怖い政党だったのか」と驚いたはずです。改正案を単独提出するに至る経緯では、次のような報道もありました。
官邸幹部が「我が耳を疑った」のは、公明党の本質を理解していないからです。公明党は、池田大作・創価学会第3代会長によって創立された価値観政党です。公明党の前身である公明政治連盟の主要な政治課題が「宴会政治の打破」だったことは、この党の本質を知るために重要です。以下は、公明党のHPです。
血税を無用の宴会で乱費することを、誰も疑問に思わない。倫理感覚の恐るべきまひであった。公明は、この宴会政治の追放に全国で取り組んだ。口火を切ったのは都議会公明。議会で取り上げた当初は、誰も耳を貸さなかった〉
この記載にある1950年代後半の政治家や新聞記者は、宴会政治は当たり前と思っていた。しかし国民の感覚は違ったので、公明党は支持されました。政治腐敗の除去が立党の根本である以上、決して譲れないということが、自民党の議員には分かっていません。