国会閉幕後の人事刷新が急浮上、総裁選に絡む隠された狙いとは?5月4日、政府専用機にてブラジル・サンパウロの国際空港に到着した首相の岸田文雄  Photo:kyodonews

「政治資金規正法の改正については帰国後の5月6日にも政治刷新本部メンバーと面会し、改革の方向性を協議する」

 大型連休中の3カ国歴訪を締めくくる4日(日本時間5日)の首相、岸田文雄のブラジル・サンパウロでの会見は、意思決定ができない岸田政権内の実態を浮き彫りにした。裏金問題が表面化して約5カ月。この期に及んで岸田の口から出たのは「改革の方向性」という言葉だったからだ。

 自民党は裏金問題のいわば“大火の火元”。真っ先に再発防止策、改革案を取りまとめる責任があった。しかし、取りまとめは一向に進まず、4月28日の衆院トリプル補選での惨敗でようやく目が覚めたかのようだった。

 岸田は6日午後に帰国すると、直ちに首相公邸に刷新本部の実務を担う衆院議員の鈴木馨祐(麻生派)と大野敬太郎(無派閥)の2人を呼び、公明党との与党協議を加速させるよう指示した。ただし、この手順も理解に苦しむ。本来なら幹事長の茂木敏充から留守中の経過報告を受け、最終方針を決めるのが伝統的な自民党の意思決定方法だったはずだ。依然として裏金問題の処理を巡る司令塔は不在のまま。岸田が直接乗り出さなければ動かないのかもしれない。

 そもそも岸田は訪米前の4月3日に鈴木を官邸に呼び、自民党案の作成作業を加速するよう指示しており、岸田の意向は無視された格好だった。岸田に近い党幹部は「党内には改革そのものに反対する議員がいる」と指摘する。

 自民党の怠慢ぶりに業を煮やしたのが公明党だ。4月22日、衆院予算委員会の集中審議の場で公明党の元国土交通相、赤羽一嘉が岸田に直談判に及んだ。

「首相が先頭に立って政治改革に取り組んでいると言えるのか。覚悟があるなら、すぐに自民党案を提示すべきだ。一両日中にまとめてもらいたい」