JR東海とJR西日本は6月13日、東海道・山陽新幹線の点検用車両「ドクターイエロー」の運行を終了すると発表しました。通常の新幹線と同じ速度で走行しながら、設備の安全診断を行うのが仕事のドクターイエローは、鉄道ファンの間で人気です。ダイヤモンド編集部きっての“鉄子”であり、現在は編集長を務める浅島亮子が、ベールに包まれたドクターイエローに潜入したリポートを紹介します。(ダイヤモンド編集部)
※週刊ダイヤモンド2014年9月20日号特集「魅惑のJR・鉄道」から再掲
「目撃すると幸せになれる」
ドクターイエローには女性ファンが多い
8月末の昼下がり、JR新大阪駅のホームにドクターイエローの勇姿が現れた。真っ黄色の奇抜なカラーリングは、人々の目を引く。
正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」。堅い名前をしているが、簡単に言えば、「電気」まわりと「軌道(枕木、レール等から成る線路)」まわりを診断する、新幹線のお医者さんだ。
当日は、通常の新幹線「のぞみ」と全く同じダイヤで東京駅へ向かった。時速270キロメートルで走行しながら設備の計測を行っている。
山田洋次監督の映画「幸福の黄色いハンカチ」の影響を受けているのか、「ドクターイエローを目撃すると幸せになれる」という都市伝説がまことしやかにささやかれている。そのせいなのかどうか、ドクターイエローには、女性ファンがめっぽう多い。ダイヤは非公開なのに、新大阪、京都……と停車するたびに、鉄道ファンがシャッターチャンスをうかがっていた。
7号車
天井室、電気・施設測定機器
最後尾の7号車は700系新幹線と同じ3+2シートの客室になっている。JRのスタッフには、「スクリーンを開けてはいけませんよ」と注意されたのだが、ついドクターイエローに乗っていることを誰かに自慢したくなって、ロールスクリーンをほんの申し訳程度に上げて外を見ると、羨望のまなざしが返ってきた。
ちなみに、筆者はドクターイエローのJR東日本版ともいえる「East i(イースト・アイ)」にも乗ったことがある。2人のお医者さんに乗れた人は数少ないだろうなと思うと、ますますテンションが上がった。