アクション映画のスーパースター、ジャッキー・チェンが最新主演作「ライド・オン」のプロモーションのため、13年ぶりに来日しました。伝説的スタントマンの姿を描いた同作は、まさにジャッキー・チェン自身の波乱万丈の人生を想起させます。
そこで、彼が自らの挫折と栄光、命がけの撮影、切ないロマンスなどについて赤裸々に記した自伝『永遠の少年』から、ジャッキーの驚くべき金銭感覚を大公開します!(初出:2016年1月21日)
ジャッキー流ショッピング
香港を代表する映画俳優/監督。1954年香港生れ。7歳から10年間、中国戯劇学院にて京劇を学ぶ。1978年に主演した香港映画『酔拳』が大ヒットとなり日本でもジャッキー・チェンの名が知れ渡る。その後、1980年代からはハリウッドに進出し『プロジェクトA』『ポリス・ストーリー』と主演作が立て続けに大ヒットを記録。世界的な大スターの座を築き現在に至る。アクションとコメディを両立させた作風には熱狂的なファンが多い。最新の自伝『永遠の少年』が絶賛発売中!
最初にスタントマンになったときは、一日5ドル(香港ドル、以下同)の稼ぎで、しばらくしたら35ドルに上がった。汗を流して血を流してそれっぽっちの金を稼ぐと、ギャンブルに興じた。30ドル勝てば60ドル賭け、60勝てば100賭ける。だけど、結局は負けるから、貧乏神がつきまとっているのかと思った。ときどきいっきに300ドルあまり、つまり10日分の給料を負けたりするから、そういうときはとくにしょげた。それじゃ飯すらも食えないし、物なんかとても買えない。あのときから、金持ちの連中がとにかくうらやましかった。連中はほしいものをほしいだけ買える。
自分で金持ちになった後、どうやって買い物をしたか、知りたいか?
ロンドンでハイブランドのブティックに行くとなると、店はそのために一般営業をしないでくれるから、結局は何箱分も買ってしまう。何と言っても、この貸し切りの待遇に見合った金額の物を買わないとまずいだろ? 店まで閉めてくれているのに、買うものはベルト1本だけとか、どう考えてもなしだ。
いつも物を買うときは、店の人に、壁に掛けているこの鞄と、これと、これは、いらない。あとはぜんぶいる、と言う。これらのメガネの中で、この3つだけ、いらない。あとはぜんぶいる。これとこれとこの靴はいらない。あとはぜんぶいる。買ってホテルに戻ると、友達と同僚が集まってきていっしょに物を分けてくれる。これが誰に贈る物で、あれが誰に贈る物かは、ぜんぶはっきり覚えている。長年ずっとそうだ。人に貸した物は覚えていないが、贈ると約束した物、あるいは贈ると決めた物は、何でもはっきりと覚えている。