人間関係に苦悩していたころ出会った
「言ってみるカウンセリング」

 この頃から、あまりにもうまくいかない人間関係に苦悩し、いろんな経営者の本や自己啓発の本を読みあさるようになります。

 しかし、本に書いてある通りのことができない自分を、今度は責めるようになりました。「こんなにひどいことを考えてしまうのは、私の性格が悪いからだ。私の考えがおかしいから改めなければ」と考えるようになったのです。

 それまで、はっきり言いたいことを言っていた私が、立派な経営者が言いそうなきれいな言葉だけを選んで話すようになったのです。しかも、心で思うこともダメなことだと言い聞かせました。

 私の心の崩壊が、始まったのは言うまでもありません。そんな時に出会ったのが、心屋仁之助さんの「言ってみるカウンセリング」でした。私は、仁さんの認定講師をされている方のカウンセリング塾を受講することに決めたのです。

 塾では、人に対しての不平不満や怒り、憎しみや嫌悪、また、自分に対しての不満や否定、自責など、いろんなネガティブな感情を言葉にしてみたり書き出したりしました。すると、今まで誰にも言えなかった苦しさが溢れ出してきたのです。

「私は、本当はつらかった」
「私は、本当は○○さんが嫌いだった」
「本当は助けてほしかった」

 久しぶりに、自分の本当の声を聞いた気がしました。

 中学生の頃にノートに感情を書き殴っていた自分。あのときの私は、ある意味、ちゃんと汚くて醜いドロドロの感情も大事に扱っていた。だから、私は生きてこられたんだ。

 そのことを思い出し、溜め込んでいた感情を隅から隅まで吐き出していきました。すると、次第に私の心は元気をとり戻していったのです。気持ちにも余裕が生まれ、人を許せるようになりました。人の優しさにも気づけるようになり、彼らが本当は私のことを思って助言をしてくれていたと受け取れるようになったのです。

 この体験から、適切なやり方で「ちゃんと言ってみたり、書いてみたり」することは、心を解放し、自分を幸せにできる入り口に使えると知ったのです。