3人の女学生写真はイメージです Photo:PIXTA

今、他人に自分の考えや思いを伝えることが苦手だと感じている10代が増加中だという。その根本にあるのは「嫌われたくない」「なんて言ったらいいか分からない」などの気持ちだ。今回は「好かれる自己主張」ができる、言葉の切りかえ術をお教えする。本稿は、大野萌子『10代のうちに知っておきたい言葉と心の切りかえ術: 日常の“あの場面”をどう乗りきればいいかを学ぶ、話し方教室』(笠間書院)の一部を抜粋・編集したものです。

イヤな思いをしたことを
友だちに話したい

 実際に10代の子どもたちの会話ケースをもとに、ついつい言いがちなワードとうまい言い換えを考えてみましょう。

<登場人物>
マコ
ユイ
ミユ

ユウタ
レン

友だちに愚痴を聞いてもらっているときに

ユイ さっき、ミユがえらそうな言い方してきたんだけど。ミユって、ホント性格悪いよね。

マコ うーん。そうかもね……。
ついつい言いがちワード……
→○○って、性格悪いよね
こんなふうに言ってみよう!
→○○にえらそうな言い方されて、すごくイヤだったんだ

人のことを決めつけず、自分の気持ちを話す

 ここではユイは本人がいないところで、ミユの「悪口」を言っています。

「人の悪口は言ってはいけない」というのは、誰もが思っていること。確かに、「あの人は性格が悪い」「あの人はわがままだ」と、人のことを決めつけて悪く言うような「悪口」は言うべきではないでしょう。

 ただ、人にイヤなことをされてムッとしたり、悲しい気持ちになったことを口にするのは「悪口」ではなく、いけないことでもありません。

「ミユは性格が悪い」というのは決めつけですが、「ミユに『レポートの資料、ユイが集めてよね』と命令口調で言われて腹がたった」と言うのは、そのときの状況と自分の気持ちを話しているだけ。悪口を言いたいのではなく、どんなふうにイヤだったのかを聞いてもらいたいのです。

 そういう意味では、ユイが「ミユは性格が悪い」と言っているのも、性格の悪さについて話したいというより、なにがあったか、自分がどんな気持ちになったのかを話すための「前フリ」です。

 ミユを「性格が悪い」と言うことでインパクトを持たせて、聞いている人の興味を刺激することで、もっと詳しく話を聞いてほしいというのが本音でしょう。

 しかし、そのような「悪口」に対しては、聞かされる側はなんと答えたらいいのか、身構えて困惑してしまうもの。「悪口」で同調を得ようとするよりも、自分の気持ちをそのまま言葉にしたほうが、相手も素直にイヤな感情に寄り添ってくれるでしょう。

 また、悪口への同意を求められたときは、マコのように「そうかもね」というようなあいまいな答えはしないほうがいいでしょう。自分では悪口に同意したつもりがなくても、「マコも一緒にミユのこと悪く言っていた」という話になりかねないからです。

 悪口に対しては、同調せずにスルーするというのが鉄則。いい・悪いのジャッジをせずに、「どうしたの」と話し手の状況を聞いてあげるようにしましょう。