人にだけじゃありません。自分に対しても否定や批判の言葉を何度も浴びせ、呪文のように、自分の心に悪口を言い続けている状態になってしまっているのです。

 ですから、私は適切な方法で、心の中の「悪口を吐き出す」ことを提唱したいのです。ただ言うのではなく、適切な方法で取り扱えるようになると、徐々に「悪口」という言葉に対するイメージが変わってくると思います。

 悪口は、けっしてこわいものではありません。

 出てきた悪口を、書き出し、分解し、整理する正しいやり方さえマスターしてしまえば、正体がわからず恐れていた悪口の中に、幸せになるヒントが必ず見えてきます。ただ我慢するという間違った方法から一緒に抜け出していきましょう。

ただ言いたい放題では
コミュニケーションに行き詰まる

 心の中で、人の悪口を言ってしまうことってありませんか?

 私は、あります。自分が急いでいるとき、目の前の人がスマホを見ながらノロノロ歩いてたりすると、「邪魔なんだよ、さっさと歩け」などと、心の中でつぶやいてしまいます。

 私は、子どものころから比較的、こういうことを思う自分を悪いと思っていませんでした。その理由は、父が感情をドストレートに表現する人だったから。

 父親は大の巨人ファン。1990年代、藤田監督率いる巨人軍が、宿敵阪神タイガースに負けると、居間に置いてある黒くて重い箱のようなブラウン管テレビを持ち上げて、窓を開けたと思ったら庭に投げるのです。私が知ってるだけでも、3台のテレビと1台のステレオが犠牲になっています。

 29歳で元夫(二人目の夫)とリフォーム会社を経営するまで、思ったことを我慢したり、ひどい考えを持っちゃいけないという発想はなかったので、もしかしたらとてもワガママに言いたい放題言って生きてきたような気がします。

 だから、会社経営をする中でスタッフとのコミュニケーションに悩むことが増えたのだと思います。負けん気が強く生意気な性格。そのくせ経営者としても未熟なところばかり。職人さんから反発を受けても仕方ありませんよね。