失業手当とは、雇用保険に加入していた人が、退職後に失業状態にあるときにもらえるものです。ということは、定年退職後にも失業手当がもらえるということになります(64歳まで)。この失業手当の金額が退職のタイミングによって変わることをご存じですか?また、65歳以上で仕事を辞めた場合はどうなるのでしょうか。定年前後の働き方にまつわる情報を掲載する本連載。今回は、退職前に知っておきたい、給付金の計算の仕方を解説します。(社会保険労務士 佐佐木由美子)
失業手当の賢いもらい方は?
失業手当(雇用保険の「基本手当」)は、雇用保険に加入していた人が退職後、失業状態にあるときにもらえるものです(原則として離職前2年間に12か月以上の被保険者期間があることが必要)。雇用保険の加入期間と離職理由によってもらえる額が変わります。たとえば、60〜64歳で退職し、雇用保険の被保険者期間が20年以上ある場合は150日分の基本手当日額がもらえます。この基本手当日額は、離職直前の6か月にもらっていた給与(賞与や退職金を除く)に基づき算定した賃金日額の45〜80%となります。
ただし基本手当日額には上限があり、1日当たり約7294円(60〜64歳の場合。2024年6月時点)となります。
失業手当は65歳になる前に退職した人を対象としています。ひとつ注意したいのは、特別支給の老齢厚生年金や老齢年金の繰上げ受給をする場合。ハローワークで求職の申込みをすると、老齢年金の支給が全額ストップしてしまうからです。そう考えると、失業手当を最大額もらうには、64歳11か月で退職するのがベストタイミングと言えます。65歳以降に仕事を辞めると、「高年齢求職者給付金」がもらえますが、給付日数がだいぶ減ってしまいます(次ページで解説)。ただこれはあくまでも給付金を考えた場合の話。退職日はよく検討してください。