以前は60歳になれば定年を迎え、あとは悠々自適……というのが一般的でした。しかし今では60歳以降も働き続ける人が増えています。60歳以降も今の会社で働ける?65歳から70歳までの働き方はどう変わる?本連載では、定年前後の働き方にまつわる情報を、厳選して掲載していきます。(社会保険労務士 佐佐木由美子)
65歳まで働き続けられるってホント?
高年齢者が働き続けることができる環境を整備するための法律が「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(「高年齢者雇用安定法」)です。この法律では定年を定める場合に60歳を下回ってはならないことが規定されており、2012年の改正では、定年を65歳未満に定めている事業主に対して、(1)65歳まで定年を引き上げること、(2)65歳までの継続雇用制度を導入すること、(3)定年制を廃止すること、のいずれかの措置を講じることが義務付けられました。これらを「高年齢者雇用確保措置」といいます。
厚生労働省の調査では、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%。しかも、「継続雇用制度の導入」により実施している企業は、全企業の70.6%にものぼります。つまり、定年が60歳であっても本人が希望すれば、継続雇用制度によって65歳までは働くことができます。ただし、注意したいのは、定年によって再雇用される場合、一旦労働条件がリセットされること。再雇用後の仕事内容や給与などの労働条件までは保証されていません。個別に交渉する必要がある点はお忘れなく。
定年年齢が引き上げられている企業では、そこまで引き続き働くことができますし、定年制が廃止されている企業では年齢制限はありません。