だからこそ死ぬ気で働こうと思って、編集プロダクションに転職してからの最初の1〜2年は家に帰らない日も何度かあって、ずっと原稿を書いている日々でした。それがあったから今の自分があるなという意味では、その先輩の言葉は大きかったです。

 あとは、どこかで耳にした「選択自体は大事じゃなくて、選択したあとにそれを正解にするための行動が大事」という言葉に支えられていました。飛び込んでからが勝負なんだなと思えたし、振り返った時に「あの決断がやっぱり正解だった」と言えていれば勝ちだという感覚があったから、やってみるかと思えましたね。

 あと一つは、当時すでに結婚していたことですね。独り身ではないわけだし、家族を路頭に迷わせるわけにはいかないというか。共働きではあったんですけど、家族が離散するわけにはいかないから、「生活できるだけの最低限の収入はもらえる会社に転職する」ということだけは自分の中で決めていたんですよね。

 今も転職や退職については、無責任に背中押すことは言えないですけど、それぞれが選んだ道を後悔しないように頑張るだけな気がしますね。1回飛び込んでみて、ダメだったらもう1回転職すればいいですし。結婚も就職も、「絶対に1回で決めなきゃいけないものはない」と思ってるので、ずっとトライアンドエラーでやってもいいんじゃないかなとは思いますね。

「次の会社を決めずに辞める」は
絶対NG!

――入社後のギャップに出会ったときは戸惑ったり、もがいたりしますよね。そんなとき、自分のどういう気持ちを大事にしてけばいいのでしょうか。

 そうですよね。僕、気持ちを切り替えるのがものすごく下手なんですよ。もうちょっとうまく適応できてもいいんじゃないかと自分でも思っていました。プライドがいくつも折れて捨てられたら柔軟になってくるかな……と思いながら日々あがいてた印象があるんですよね。

 それで、働くうちにちょっとは丸くなっていったというか、できることも少しずつ増えていきました。相変わらずポンコツではありましたが。

 でも口癖がずっと「会社辞めたい」になってた時期は、やっぱりありました