転職経験がない3分の1の日本人が、知らぬ間に抱える「3つの大損」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

転職市場が活況です。今や日本人の3分2が転職経験者で、転職をしない日本人は少数派です。残念ながら、転職をしない残り3分の1の日本人は「三つの大損」を抱えています。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

日本人の「3分の2」は転職経験者
生え抜きは少数派

「日本人はできれば終身雇用を望むことから、なかなか転職しない」という話は、徐々に過去のものになりつつあります。

 経済協力開発機構(OECD)の調査によると、40~50代の会社員のうち転職を経験していないビジネスパーソンは全体の約3分の1と少数派です。

 その一方で、「日本経済が活性化しないのは、雇用の流動性が低いからだ」という話もあります。ここはちょっとしたパラドックスなのですが、実はこの話も事実だったりします。

 今回は、この一見矛盾する日本の転職事情についてお話しします。

 厚生労働省の調査によれば、20代後半の正社員が転職する比率は1年間でだいたい14%前後です。そこから推定すれば半数以上の日本人は20代で一度、転職を経験しているわけです。

 転職して給料が上がるかというとそうでもなく、20代の転職では給料が上がった人と下がった人はほぼ同数。

 では何のために転職しているのかというと、「スキルアップのため」という回答が多い。そして実際に、スキルアップできる会社を求めて転職し続ける人生を送ります。

 つまりここが面白いところですが、35歳から44歳までの転職者を見ると、給料が上がった人の方が下がった人よりもずっと多くなるのです。

 比率でいえば4割強の人の給料が上がり、25%程度の人が給料が下がる。残りが変わらないという結果です。

 要するにこの「2回目の転職で高い給料をゲットすること」がゴールだと考えると、日本の転職構造、そして人材流動化の実態が理解できます。