昨年、非上場化への道を選択した東芝。日本を代表する電機メーカーはなぜ、74年間の上場に幕を下ろす決断に至ったのでしょうか。東芝の「漂流」の歴史をたどりながら、組織変革の観点から、東芝の現在地と今後の行方を探ります。(グロービスAI経営教育研究所 所長/グロービス経営大学院 教員 鈴木健一)
日本を代表する電機メーカー東芝が
「上場廃止」に至った経緯を振り返る
近年、ベネッセホールディングス、大正製薬ホールディングスやスノーピークなど、非上場化、すなわち上場を廃止する有名企業が相次いでいます。中でも象徴的な企業が、東芝です。
2023年12月19日、東芝は東証プライム市場での最後の取引を終え、翌日、上場が廃止されました。
東芝は、日本の代表的な電機メーカーとして輝かしい歴史を誇ります。
ピーク時の売上高は約7.7兆円(2007年度)、従業員数も約21万人(2011年度)。総合電機メーカーとして、原発をはじめとする重電事業はもちろん、情報家電でも世界で初めてラップトップ型のパソコンを商品化するなど、存在感を示してきました。東芝が生み出した「dynabook(ダイナブック)」というブランドは、1994年から7年連続でノートパソコン世界シェアNo.1を獲得しています。
就職先としての人気も抜群でした。「ダイヤモンド就職先人気企業ランキング」では、理系男子学生のトップ10にランクイン。1980年には2位、1990年には7位となり、2010年にはトップに輝きました。
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そんな東芝は、なぜ上場廃止という選択をすることになったのでしょうか。