日立やNEC、東芝など、電機業界各社の今季春闘は、1万3000円もの大幅なベースアップ(ベア)で決着した。妥結したベアの金額は各社横並びだが、取材を進めると、各社で給与事情に差があることが明らかになった。特に日立では、ベアと併せて制度改定が行われたため、給与の底上げにとどまらない「賃金体系の激変」が起こり得るのだ。特集『賃上げの嘘!本当の給料と出世』の#6では、日立の出世事情を競合と比較しながら明かすとともに、社内資料から試算した日立社員の「これからの年収」をお届けする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
「ベア1万3000円」に沸く電機業界
給与事情の実態には格差が…
2024年の春闘では、かつてないほど幅広い業界で賃上げが実現された。電機業界でも、日立やNEC、東芝など、大手各社がそろって1万3000円の大幅ベースアップ(ベア)で妥結している。
上げ幅こそ各社横並びだが、待遇は決して一様ではない。詳細は次ページで述べるが、給料や出世事情では、日系電機メーカーの中でも大きな格差があるのだ。
特に、トップメーカーの日立では、今年6月からベアと併せて処遇制度が改定されるため、給与水準の底上げにとどまらない「賃金体系の激変」が起こる可能性がある。年功序列が色濃く残っていた賃金体系が瓦解し、「ジョブ型」の名の下に冷や飯を食う社員が大量発生するかもしれないのだ。
次ページでは、日立の出世事情を競合と比較しながら明かすとともに、独自に入手した詳細な内部資料から試算した日立社員の「これからの年収」をお届けする。