この場合も、子どもにスイッチが入るのを待つことと家族でのコミュニケーションを大事にする姿勢だけは忘れないようにしたい。
待てない方は、しばしば家族療法の用語として使われる「リフレーミング」という手法を試してみてほしい。
「リフレーミング」とは、文字どおり、物事を見る枠組み(フレーム)を変えて、別の枠組みで見直すという意味だ。
たとえば、「お帰り!」と声をかけ、子どもから「うるせえな」と乱暴な言葉が返ってきたら、普通は「親に向かってその口のきき方は何だ!」と怒鳴りたくなる。
そこをグッとこらえて、「あー、びっくりした。父さん、急に胸が痛くなった」と返してみるといい。
そうすると、子どもの中で「えっ?これまでと反応が違う」という波紋が拡がる。こういうことを繰り返しやっていくことで、「ただいま」という返事が返ってくるようになったりする。
Aという手法でうまくいかなければやめる、Bという手法で改善が見られれば続けるというのが「リフレーミング」の手法なので試してみていただきたい。
子どもとの対話において
親が注意すべき4つのポイント
2021年10月、岸田内閣が発足した当初から岸田総理大臣が強調してきたのが「聞く力」である。
この「聞く力」は、高校生を持つ保護者にこそ重要な要素である。筆者自身の反省も込めて言えば、保護者の多くが、きちんと子どもの声を聞いていないと思われるからだ。
筆者はしばしば、指導をしている子どもの多くから、「親は最後まで話を聞いてくれない」という憤りの声を耳にする。途中で、保護者としての意見を割り込ませてきたり、話し終わっていない段階で否定したりすることがままあるというのだ。
「何を考えてんだか……。はっきり言いなさい」
などと語りながら、その実、最後まで話を聞けていない、途中で自分の意見をかぶせる、では、子どもが不満を持ち、対話しなくなるのも当然だ。
今まで述べてきたように、自分の意見をしっかりと述べることは、大学入試において重要な要素になる。