異なる意見や立場を、まず尊重したうえで、自分の考えを述べ、同意が得られるよう働きかけていく姿勢は、国公立大学の二次試験や、国公立や私立大学の総合型選抜入試、もっと言えば社会に出てから問われる技量になる。

 その素地を作るのが家庭だ。

◇家庭で、保護者が子どもに対して上手に「聞く力」を発揮する方法
○相手の話を全部聞いてから話す
○言外に否定せず、共感してみせる
○話を聞くときの表情や態度に気をつける
○時折、相槌を打ち、気になった点は質問してみる

親には「聞かない力」も大切
子どもの間違いは軌道修正を

 近年、相手の目標達成をサポートするためのコミュニケーション手法として「コーチング」が注目されているが、その中の重要な要素となるのが「傾聴」、つまり、「聞く力」である。家庭では、今、列記した4つの点に留意し、「ちゃんと聞いていますよ」という姿勢を見せていただけたらと思う。

 他方で、「聞かない力」も大切だ。

 高校生あたりの子どもは、保護者が思う以上に大人の部分と、まだまだ幼い部分が共存している。

 幼い例で言えば、「キャンパスが綺麗だから〇〇大学に行きたい」、「親友の△△ちゃんが指定校推薦で決まったから私も一緒に入学したい」、「偏差値が高いので□□大学なら胸が張れる」などといった理由で進学先を決めようとしたりする。

 そういう見方には、一定の共感を示し、穏やかな表情で受け止めながらも、社会人として生きてきた経験や時代の流れなどから、「それはダメ」と判断しなければならない場合もある。

 子どもの意見を尊重しながら、子どもの考えに迎合せず「聞かない力」を発揮するというのはバランス的に難しいことかもしれない。

 それでも、子育てというマラソンレースの中で、保護者は子どもの「伴走者」の役割を果たす必要がある。

 間違った方向に行きそうな場合、軌道修正させることは、「伴走者」の務めである。