なぜ人は「○○診断」に惹かれるのでしょうか?
そう語るのは、『ABEMA PRIME』などに出演し、ネット上で有名なひろゆき氏。著書『1%の努力』『99%はバイアス』では、「どうすれば影響力を持てるのか?」「口のうまい人がトクする世の中で、どう生きるべきか?」などを語っているが、本記事では、今ネット上で流行っている「MBTI」について聞いてみた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡 敬子)

ひろゆき流「MBTI」に左右されずに生きる考え方ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

そもそも「MBTI」は診断とは呼べない

 近年、K-POPアイドルや若い世代を中心にネット上でたびたび話題になる16タイプ別性格診断「MBTI」。

 MBTIでは、4つの要素「外向型(E)・内向型(I)」「感覚型(S)・直観型(N)」「思考型(T)・感情型(F)」「判断型(J)・知覚型(P)」から、それぞれのアルファベットの組み合わせで表現しています。

 あなたも友人から「MBTIなに?」と聞かれたり、「あの人あのMBTIっぽいな」と思ったことはありませんか? うんざりしたり、一喜一憂して楽しんだり……性格診断には色々な扱い方があると思われます。

 そもそも、僕は血液型占いとかは信じていません

 ただ、MBTIって「定期的に新しい友達作りをしますか?」「はい・いいえ」みたいなのを答えていくと、「はい、あなたは外交的な性格です」と言われてしまいますよね。

「この質問に『はい』と答えたらそうなる」っていうのを言い換えてるだけだと思います。そうなると当たっているかどうか以前の問題なので、それをそもそも診断と呼んでいいのかっていうのが疑問ですね。

 でも「自分の性格だ! その通り!」と思いたくなるのも分かります。

実際にやってみて思ったこと

 僕もね、ABEMAの「シャッフルアイランド」という恋愛番組にコメンテーターとして出演した際にやってみたんですよ。

 診断結果は、INTP(論理学者)でした。

 ちなみに、INTPは分析家(NT)グループの1つになります。同じグループには、ENTP(討論者)・INTJ(建築家)・ ENTJ(指揮官)があります。

 他にも外交官(NF)グループ、番人(ST)グループ、探検家(SF)グループといって、4つのグループごとにそれぞれ似た特性があるそうです。

 結果に対しては、質問に答えるとそのまま16タイプに分けられて診断結果がでるので、「まあ、そうなるよね」っていう。確かに自分は論理的で面倒くさいタイプだと思いますよ。

人付き合いをMBTIに委ねる危険性とは?

 最近では性格診断に囚われたあまり、他人をMBTIというものさしで判断する人が多い傾向にあります。そうならないためには、どうすべきなのでしょうか?

 ちょっと前だと「AB型の人は性格が変わってる」なんて流行った血液型診断と同じことをしていると思うんですよね。

 でも、「約束の時間を必ず守る人は、いつも計画的に行動しているタイプ」とか、人を見に行くときの枠組みとして持つことは別に悪くはないと思います。

 ただ、その枠組みに必ず入るわけではない上に、本当にその枠組みの中だけで成立するキャラクターの人っていうのはあんまりいません。「なんとなくこうだろうな」って当たりをつけるのはいいんですけどね。

 実際に「この人は、本当はこういう人だ」というモデリングを自分の中できちんとやる癖はつけた方がいいんじゃないかなと思います。

それでも輪廻転生する診断ブーム

 10数年前に流行った血液型診断に加え、動物占いや姓名診断なども名前や形を変えて流行り続けています。なぜ人は「○○診断」に惹かれるのでしょうか。

 一定周期で流行るのは、不安だからだと思います。

 今はだいぶ変わったかもしれないですが、前に占いの本を作っている人に話を聞いた時に、占いの本だったら必ず買うという人たちが60万人ぐらいいるそうです。何を出版しても毎回60万部ぐらいは年間売れるけど、それを超えることはそんなにないという……。

 そういう人たちが、ネット上の診断をやり続けている結果なんだと思います。一定の割合で自分の判断力よりも、占いや診断を信用する人たちの層がいて、新しいのが生まれるたびに飛びついていくというのがぐるぐる回っているんだろうな。

「自分は周りから見るとこういうタイプ」だと再確認したい

 あと、性格診断をする理由の一つには、自分を客観視したい人たちが多いからだと思います。

 動物占いとか血液型占いとかでも、「あなたの動物はライオンです」って言われてやってみると、「ライオンタイプは感情的で負けず嫌い……やっぱ自分これだわ」みたいなのが多いですよね。

 あれも「嘘をつくのが苦手な性格ですか?」に「はい」と答えていくと「じゃあ、あなたは世渡りがヘタな性格です」って言い換えてるだけなので、基本みんな騙されるんだなと思いますよ。

 例えば「部屋の中にゴミが落ちていたら気になりますか?」という質問に「はい」と答えたとします。それに対して「綺麗好きな性格です」って診断結果が出てきたら、それはそうだろうってなりますよね。

 性格診断は、「周りから見ると自分ってこういう人」だと再確認するためのものでもあると思います。

 なので、これからも同じような「○○診断」は出てくると思いますが、人を見るときの枠組みの1つと捉えるくらいにして、ほどほどに付き合うようにしましょう。

(本稿は、1%の努力の著者・ひろゆき氏へのインタビューをもとに構成したものです。)

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。自身のYouTubeチャンネルの登録者数は160万人を突破。生配信の「切り抜き動画」が話題になり、ひと月の総再生回数は3億回を超えた。主な著書に、シリーズ50万部を突破した『1%の努力』『99%はバイアス』(ダイヤモンド社)がある。