スポーツ+に切り替え、攻め込むと途端にスパルタンになり、リアアクスルの動きに神経を尖らす。ワインディングロードでは脈拍を上げない程度の領域でマシンとの対話を楽しむのが最善。その限りにおいてドライバーは制御を恩着せがましく感じることがなく、あたかも自分の技量で走らせている感覚に浸ることができた。新たなドライバー・エンゲージメントのあり方だ。
一般道を3時間ほど走ったのち、いよいよ実力をサーキットで解放する。最初はドライブモードをスポーツ+にし、シャシー制御も効かせたまま走らせてみた。一般道より相当に高い速度域(ストレートでは250km/h)で走り続けると、トルコンATやカーボンセラミックブレーキに若干の不満を感じるものの、総じて楽しいFRスポーツカーに終始する。
サーキット走行において重宝したのがESPの介入レベルを調整する機能(8段階で1が最小)だった。5か6を使ってある程度リアを滑らせてクリアしたほうが、タイトコーナーの立ち上がりなどでリアアクスルの上下動が抑え込まれ、気持ちよく走らせることができた。
ワインディングロードでもサーキットでも、V8エンジンはつねに力強くヴァンテージの前進を支えてくれる。吸排気サウンドにも工夫が凝らされて、課題だった官能性も感じられるようになった。新たな地平を目指すブランドに、さらなるアドバンテージをもたらすモデルになったといっていい。
(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/ASTON MARTIN)