バイデン氏の決断を
もっとも左右するのはジル夫人
バイデン氏自身が、再選に向け意気軒高であったとしても、この先、撤退を余儀なくされる要素は、下記の通り、いくつもある。
○ジル夫人など家族の反対
現状では、ジル夫人らはバイデン氏に戦いの続行を求め、支援する姿勢。
○大口献金者の反対
ディズニー家の財産相続人アビゲイル・ディズニー氏は、「バイデン氏では勝てない」と、バイデン氏の陣営への選挙資金の提供を停止する動きを見せ、慈善家で起業家のギデオン・スタイン氏は、すでに350万ドル(約5億6000万円)の献金を保留。
○主要メディアの反対
バイデン氏と同い年で著名なジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏や、有力紙ニューヨーク・タイムズなどが撤退を求めている。
○民主党議員団の反対
バイデン氏を支える側の民主党議員が公然と身を退くよう求め、集団で撤退を求める動きに発展。
これらのうち、バイデン氏の判断を左右するのは、ジル夫人だ。ジル夫人は、討論会後の6月29日、ニューヨーク州イーストハンプトンで、詰めかけた寄付者に「彼だけがふさわしい人物です」と強調し、ヴォーグ誌8月号では、「私たちは戦い続ける」と明言している。
ジル夫人は元高校教師でバイデン氏の2人目の妻だ。バイデン氏が最初の妻と長女を交通事故で失った後、再婚した相手だ。その後、長男にも先立たれたバイデン氏を精神的に支えてきたジル夫人は、バイデン氏にとって、人生を取り戻してくれた存在であり、何でも話せる唯一無二の親友でもある。
そんな彼女が、「ジョー、もう降りた方がいい」と進言すれば、バイデン氏はその歩みを止めると筆者は見ている。ジル夫人がこれまでどおり「GOサイン」を出し続けるか、それとも一転して勇気ある撤退を勧めるか、選挙の行方は73歳のファーストレディにかかっていると言ってもいい。