「数学は役に立つものだ」
「社会人には数学的思考法が必要だ」
などの文言を最近はよく聞くようになりましたが、数学が苦手な人にとっては、実際のところ数学がどんな風に役立つのかは、なかなか見えてこないのが実情だと思います。「7つのテクニック」はまさにそんな人のためにあります。
ここで言う「テクニック」とは数学の問題を解くための裏ワザ的な方法のことではありません。「7つのテクニック」は、一見数学とはまるで関係のないような普段の生活や仕事にも応用できる、物事の捉え方・考え方・解決法です。本書を読み終えたとき、
「数学って意外と役に立つんだなあ」
と思ってもらえれば、筆者としてこれ以上の喜びはありません。
10のアプローチと7つのテクニック
私が前著『大人のための数学勉強法』で書いた「どんな問題も解ける10のアプローチ」は高校数学に出てくる約700もの典型的な解法の多くに共通する数学の根本的な考え方であり、「数学ができる人はどのように考えて問題を解いているのか」ということをできるだけ明文化したものです。この連載でも前回ご紹介しましたので、ここではタイトルだけをあげます。
【10のアプローチ】
(1)次数を下げる
(2)周期性を見つける
(3)対称性を見つける
(4)逆を考える
(5)和よりも積を考える
(6)相対化する
(7)帰納的に思考実験する
(8)視覚化する
(9)同値変形を意識する
(10)ゴールからスタートをたどる
これらのアプローチを使えば、経験のない新傾向の問題を前にしてもその場で解法を編み出せるようになります。いわば、伝家の宝刀的な考え方であり、ゴルフに例えるならさまざまなコースを攻略するための戦術のようなものです。
ただし「10のアプローチ」は実戦的であるがゆえに、ある程度の準備ができていることが前提になっています。ゴルフのコーチがコース上で、
「こういうときは5番アイアンを使いましょう」
と言うときには、相手が5番アイアンを使えることを期待しているのと同じです。
これに対し「7つのテクニック」は、「10のアプローチ」を使いこなすために必要な基本です。上の例えで言えば、それぞれのゴルフクラブの使い方や素振りの「型」を解説するものです。これらの7つのテクニックを身につけてもらえれば、10のアプローチをスムーズに使いこなせるようになると思いますし、何よりも数学と仲良くなれます。
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