テクニック・その1 概念で理解する。
【ポイント】
・新しいコンセプトを導入する。
・バラバラに分解する。
概念(コンセプト)を生み出し、概念を深めることによって私たちは世界を理解します。数学の歴史は概念の歴史だと言っても過言ではありません。
かつてドイツの数学者クロネッカーは
「自然数は神に由来し、他のすべては人間の産物である」
と言いました。
中学数学に出てくる負の数や無理数もまさに人間が数に概念を導入することによって生まれた数です。また、素数は自然数(1、2、3…とものを数えるための数)をバラバラに分解していくと、その素が見つかるはずだというコンセプトのもとに考え出されました。
テクニック・その2 本質を見抜く
【ポイント】
・一般化する。
・ファクターをあぶり出す。
・情報量の多いほうに注目する。
対象を一般化できれば、膨大なデータを1つの体系のなかで考えることができます。またある事柄がいくつの要因(ファクター)によって成り立っているのかを意識することは、問題の複雑さと対処法を知ることにつながります。逆に、情報量が少ない場合にはどうすれば望む情報を引き出せるかを考える必要もあるでしょう。
中学数学で学ぶ文字式・多項式・因数分解にはこのすべてに繋がるヒントが隠されています。
テクニック・その3 合理的に解を導く
【ポイント】
・正しいプロセスを踏む。
・ルールを集める。
・モデル化する。
「答え」が正しいかどうかは、答えだけを見ても分かりません。導き出したものが正しいかどうかは、そこに至るプロセスが正しいかどうかで決まります。中学数学で学ぶ1次方程式と2次方程式の解き方からは「正しいプロセス」とは何かが学べます。
また、解を導くためにはルール(制約)が必要です。ルールがあるから解が求まるのだということを、連立方程式から実感しましょう。さらには、文章題を方程式に落としこむ演習を通して、複雑な現実をモデル化するスキルも磨いていきます。
テクニック・その4 因果関係をおさえる
【ポイント】
・1対1対応を見つける。
・「線形」と「非線形」の関係を使いこなす。
「1対1対応」を使えば、わかりづらいことをわかりやすいことにおき換えたり、多くの情報を手に入れたりすることができます。中学数学では最も基本的な1対1対応である比例を入り口に関数の世界に入っていきます。
関数とはすなわち因果関係がはっきりする関係のことです。私たちは1次関数という「線形」の関係によって世界の根本原理を理解し、2次関数のような「非線形」の関係によって現実世界を表現します。