【追悼】セブン・鈴木敏文氏が「コンビニ飽和論」に大反論!カリスマが語った生き残りの条件と“流通の最終形”とはPhoto:JIJI

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文名誉顧問が5月18日に93歳で死去していたことが明らかになった。2010年代、セブン-イレブン・ジャパンは年間1000店舗を超えるペースで精力的に店舗数を拡大した。同時に、加盟店の利益を確保するために鈴木氏が推し進めたのが、セブンの店舗でさまざまな商品を受け取ることができる「オムニチャネル」構想だった。連載『流通・小売り フロントライン』の本稿では、「週刊ダイヤモンド」2014年9月6日号に掲載したインタビュー記事を紹介する。(ダイヤモンド編集部)

「週刊ダイヤモンド」2014年9月6日号のインタビューを基に再編集。肩書や数値などの情報は雑誌掲載時のもの

需要を喚起する時代
価格競争は終わり

――コンビニ大手3社の出店ペースが加速しています。

 消費社会が変化し、その変化に対応できる業態や店が増えることは必然です。 当然ながら、店も変化しますし、変化に対応していくことができれば、コンビニ業界は伸び続けると思います。 数年前から「コンビニが飽和する」とマスコミなどは主張していますが、私は伸び続けると言い続けてきました。

 世の中が変わる、つまり、人口が減って高齢化が進むと、客層が変わります。 今までは車でショッピングセンターに行っていましたが、運転する人が減っています。 すると、近くで物を買うようになる。

 一方で、一人暮らしが増えて世帯数は増加し、まとめ買いは減っています。 こうした変化は、わが社のチャンス。 家庭に届けるミールサービスなどは、今後どんどん伸びます。 コンビニが減るというならば、それは革新をしない会社だ、というだけです。

――セブン‐イレブンは年間1000店規模で出店していますが、今後もこのペースで出店を続けていくのでしょうか。

 増やしていきます。 2万店になったから出店ベースを落とすなんてことは考えていません。 ただ、天候要因などの例外を除いて、既存店の売り上げが落ちるようなことがあれば、出店はしません。 お客さんに満足を提供できていないということだからです。

 だから、規模を大きくし、会社の売り上げを増やせばいいというやり方は正しくありません。 個々の店を犠牲にするからです。 既存店の売り上げを伸ばし続けることが、各オーナーに対する、われわれの当然の義務です。

――とはいえ、市場規模を考えれば、適正な店舗数というものがあるのではないでしょうか。

 そんなものはありません。 2万店になることは確実で、3万店、4万店にもなるかもしれない。 ただ、そうなったときはセブンの機能や店舗の形は変わりますよ。

2010年代、セブンの成長ドライバーとなったのが、プライベートブランドの「セブンプレミアム」シリーズだった。「金の食パン」などのヒットの裏で、鈴木氏はどのように号令を出していたのか。次のページでは、鈴木氏がプライベートブランドの戦略のほか、目指している「流通の最終形態」を語った。